09
この戦いは、私の防戦一方になるだろう。
「愛してるぜ、名前っ!」
そう言いながら、銃を乱射する大輝。
避けて、剣ではじいたりする。
「もう、嫌だなっ!」
大輝の銃の特徴は、弾の際限がないことだ。
永遠と撃つことが出来る、特注の銃だ。
「…っ、」
うまく、剣で弾をはじきながら真太郎へと迫った。
「!」
真太郎が目を見開く。
顔が赤いのは気のせいではないだろう。
「真太郎っ!」
私は、居合いの形で真太郎へと斬りつけた。
「…名前は、馬鹿なのか?いったい何年俺と共にしてきた?」
目の前にいた、真太郎はもういない。
「俺の、能力忘れたわけではないだろう?」
パンッ
顔すれすれで弾が通る。
髪の毛が、切れた。
目を見開くことしか出来ない。
「わざと、はずしたの…」
忘れていた、真太郎は厄介だ。
「…赤司に怪我をさせるな、と命令されたのだよ。それよりも名前、お前にはがっかりなのだよ。こんなにいとも簡単に俺のことを忘れるとはな」
真太郎の愛銃は、7発しか撃てない。
その代わりに、威力は高い。
早いし、狙った獲物は当たるまで追いかけるようになっている。
そして、一番厄介なのは…
「俺は、人の死角に一瞬で移動できるのだよ」
そう、それで知らないうちにあの世行きなのだ。
「〜〜〜っ」
「ははは、お前の悔しがる顔もいいな。そそるぜ」
耳元で声がした。
熱い、熱の篭った声。
生温かい息があたる。
カチャ、
ぐいっ
抱き寄せられた腰の手に、こめかみに感じる冷たい感触。
やられた。
「緑間の能力を忘れるほど、内心焦ってたのか?」
「……うるさい」
「そんなとこも、かわいいけどな」
ぐっと剣を持つ手に自然と力が篭る。
「さ、逃げられないぜ?――名前」
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