いつか見た桜を君は、美しいねと言った。
『…私たちはずっと同じ物語を繰り返すのかな』
『それは、僕には答えられません』
『そう、』
『ですけど、僕たちはどんな時代でもどんな名前でも必ず見つけ出して、離しません』
ああ、桜は綺麗だ。
『…だったら、必ず見つけてね。私、待ってるから』
少女の着ている桜色の着物がふわりと風に揺れた。
少女の黒髪も一緒になびいた。
『ええ。待っててください。あなたの想いが詰まった、この珠に懸けて見つけ出します』
だから、待っててください。
僕たちがあなたを見つけるまで。
『では、さようなら。愛しい姫君』