また来世で

ああ、痛い。
目の前が霞む。


ねえ、なんでそんな泣きそうな顔をしているの。
征十郎にテツヤに真太郎に敦に大輝。
それに涼太。


痛い痛い。
赤いぬるっとしたものが口から垂れた。


「っ!!!ひめさまああああああ!!!」


もう、聞こえないよ征十郎。


「…ま、た、来世、で…逢い、ま、しょう、か…」


血が止まらない。
テツヤも泣かないで。
だって私が死んでも切れない絆が私たちにはあるでしょ?


「嫌です、名前。死んじゃ嫌です。置いていかないでください」


もう、離れるのは嫌なんです。
そんな言葉は涙とともに消えた。


「…名前っち、名前っちが悪いんスよ?俺を否定するから」


「黙れ、涼太。殺す!!!」


「赤司っちには無理っスよ。だって、名前っちが死んだら君達の力は無くなるんスからね」


「それでも、殺す!!」


赤司は、刀を強く握り涼太へと駆け出した。
それに続き、青峰以外も駆け出す。


「…黄瀬、」


ぽつりと花宮の口から零れた。


「…名前、名前」


目の前で倒れている名前。
血を流す名前。


「、ああ、『今回』もだめだったのか…」


救えなかったのか。


「辰也様、どうするん?黄瀬、姫さん殺してしもうたけれど」


「いいよ、計画通りだ。名前には何度か死んでもらわなきゃだからね」


「…ほな、松奏院家の懐刀達はどうされるん?」


氷室が笑み浮かべた。


「…適当にあしらっといて。どうせ時機に力は消える」


「分かりました」


今吉が戦いに加わる。


「…名前、」


氷室は、名前の側へと歩む。
名前のすぐ側で膝をついた。
名前の血で着物が汚れることなんて気にしなかった。


「…ごめんね、名前。君を俺のものにするにはこうするしかないんだよ」


あと、何回君は死ねばいいのかな。
どうすれば俺のものになるかな。
早く絶望に染まって俺しか見れなくなればいいのに。


「さあ、名前。また、物語を再開しようか」


君が俺のものになる日まで繰り返される物語を。
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