「太陽みたいだね」―伍


とうとう、当日だ。
今日、外の世界へと飛び出せるのだ。


『おはよー、涼太!』


『おはよっス、名前っち!』


名前っちの手には一つの大きな刀を持っていた。


『じゃあ、今鉄格子を消すからどいて?』


俺は、名前っちの言うとおり離れる。
名前っちは、鉄格子を掴み、額をくっつけた。
その瞬間、綺麗に鉄格子が消えたのだった。


『すごいっス!!!』


『感動してないで、行くよ』


名前っちに手を掴まれ走り出した。
階段を上ると、まぶしい光が見えた。


『っ…』


『ごめん、ずっと地下にいたもんね。久しぶりに見る太陽はつらいか…』


目の前にはまぶしすぎる光があった。
それは、もう一生見ることはないと思っていた太陽だった。


『…しかも、寒いっスね』


『うん。もう、冬だからね』


そうか、もう冬なのか。


『はい、刀。『雷雅羅鬼一』って言うのよ。ちゃんと面倒見てあげてね』


渡された刀は、ずっしりとしていて重かった。
こんなに重いのか。


『幸せに生きて。人生を全うしてね』


『ありがとうっス、名前っち』


『いいえ。こっちこそごめんね。ずっと長い間地下牢に入れたままで』


『大丈夫っスよ。名前っちに出会えたし』


俺たちは、そこで別れた。
名前っちのくれたこの能力。
名前っちの願いを叶えてあげるためにがんばるよ。


『だって、俺の全ては名前っちだし、俺の中の全ては名前っちのものなんスからね』

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