とうとう、当日だ。
今日、外の世界へと飛び出せるのだ。
『おはよー、涼太!』
『おはよっス、名前っち!』
名前っちの手には一つの大きな刀を持っていた。
『じゃあ、今鉄格子を消すからどいて?』
俺は、名前っちの言うとおり離れる。
名前っちは、鉄格子を掴み、額をくっつけた。
その瞬間、綺麗に鉄格子が消えたのだった。
『すごいっス!!!』
『感動してないで、行くよ』
名前っちに手を掴まれ走り出した。
階段を上ると、まぶしい光が見えた。
『っ…』
『ごめん、ずっと地下にいたもんね。久しぶりに見る太陽はつらいか…』
目の前にはまぶしすぎる光があった。
それは、もう一生見ることはないと思っていた太陽だった。
『…しかも、寒いっスね』
『うん。もう、冬だからね』
そうか、もう冬なのか。
『はい、刀。『雷雅羅鬼一』って言うのよ。ちゃんと面倒見てあげてね』
渡された刀は、ずっしりとしていて重かった。
こんなに重いのか。
『幸せに生きて。人生を全うしてね』
『ありがとうっス、名前っち』
『いいえ。こっちこそごめんね。ずっと長い間地下牢に入れたままで』
『大丈夫っスよ。名前っちに出会えたし』
俺たちは、そこで別れた。
名前っちのくれたこの能力。
名前っちの願いを叶えてあげるためにがんばるよ。
『だって、俺の全ては名前っちだし、俺の中の全ては名前っちのものなんスからね』