「太陽みたいだね」―肆


全ては、君のためだった。
だって、こんな世界から救ってくれたのは君だから。


『…ねえ、名前っち』


『ん?』


『俺、名前っちのこと大好きっス!』


『ありがと、涼太』


名前っちは、俺が大好きと言うと嬉しそうにはにかむ。
俺はその顔が大好きで何度も言うのだ。


『名前っちー!』


『うふふ、涼太ってほんと甘えたさんだよね』


『そうっスよー、知らなかったんスか?』


『知ってたよ』


名前っちは、にこりと笑って俺の頭を撫でた。
そういえば、名前っちが言うにはあと5日で脱出を決行するらしい。


『…涼太、私の力を少しあげるから』


『はいっス』


俺と名前っちは額をあわせた。
ああ、なんか温かいものが染み込んでくる。


『大事にしてね。涼太にあげる力は、雷だよ』


『雷っスか』


『うん。はい、終了ー』


名前っちの額が離れる。
少し名残惜しい。


『当日には、刀を持ってくるから、大事にしてあげてね』


『了解っス!』


ああ、早く当日にならないだろうか。
そしたら俺は自由で、名前っちの願いを叶えてあげられる。
だって俺は、名前っちのために生まれてきたのだから。


――その日の夜のことだった。


『…あれ?花宮っち、その白の珠、綺麗っスね。どうしたんスか?』


『これ?もらったんだよ』


花宮っちが愛おしそうに見つめる珠。
誰にもらったんだろう。


『…誰にっスか?』


『は、なんでお前に教えなきゃなんねーんだよ』


『いいじゃないっスかあ!』


『別に誰でもいいだろ』


『花宮っちのケチー!!』


『うるせーよ。さっさと寝ろ』


花宮っちは、その珠を大事そうに抱きしめながら横になった。
ほんと誰にもらったんだろうか。
気になるなあ。
俺は、そう思いながらも睡魔には勝てず寝たのであった。
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