真実は毒々しく光っていた

ふと、騒がしい音がするのに気づきそちらへ向かう。


「…ん?あ、テツヤたちだ!」


そして辰也くんたちもいる。
そして何か話してる?


「…それよりもみんなのところに行こう」


行かなければ良かったなんて後悔しても遅い。


−−−−−−−−


「…え、嘘、ですよね?辰也様…」


黒子の表情が困惑した表情だ。


「まさか、名前と兄妹なんて…」


「え?」


ふと、桜の匂いが増した。
そして聞き心地のよい鈴のような声が響いた。
そこには、名前がいた。


「…辰也、くん。私と…兄妹、なの?」


氷室は、下に向けた視線を名前に向けとってつけたような笑顔で言った。


「うん、そうだよ。俺は、君の兄だ」


「!!!!!!!」


名前は目を見開き、両手を口に当てた。


「姫様っ」


赤司がこちらにやってこようとするも、私の目の前に立ったメガネをかけた黒い着流しを着た青年に止められてしまう。


「抜け駆けはあかんで、赤司くん」


「っ、てめぇは!!!」


その青年に対して青峰が声を荒げた。


「久しぶりやなあ、青峰に緑間」


にっこりと笑う青年。
なぜか、寒気がした。


「姫さんはやらんで」


「っ!」


まだ信じられない事実を突きつけられた名前は、呆然とするしかなかった。


「…名前と兄妹と知りながら、婚約しようとしてたのですか。手に入れようとしてたのですか」


「…そうだけど?」


氷室は、そんなのなんとも思ってないように答えた。


「近親の間での結婚は…!!」


「…それは、今の時代でしょ?あの時代ではそんなことは関係なかったよ。より濃い血を残すためなら近親関係も良かったはずだ」


「っ…ですが、今はもう時代が違います!」


「…テツヤくんは馬鹿なのかい?」


「は?」


「俺たちには時代は関係ないはずだよ」


氷室の瞳が黒子を写す。
そこには、何の感情もなかった。


「ただ、俺は名前を愛してるだけだよ」


当たり前の言う氷室が怖かった。
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