そう言って笑う辰也くんが怖かった。
『……辰也くんはその言葉の呪いで人を殺しちゃったことがあるの?』
『……そうだよ』
私の問いに辰也くんは目を閉じて言った。
『じゃあ、私と同じだね』
『え、名前も殺しちゃったの!?』
『…うん。私、ただ死にたくないって思っただけなの。そしたらさ、目の前にはおびただしい量の血と死体がたくさんあったの』
私が言葉を出していると急に暖かい温もりに包まれた。
ぎゅう…
『…ごめんね』
『?』
『ごめんね、名前』
私を抱きしめて謝る辰也くん。
私には彼に謝られる理由なんてないのに。
『ごめんね』
だけど、彼に謝られるのは嫌ではなかった。
『…もう、時間だ名前』
『え?』
辰也くんは、私から離れる。
そして、優しい手つきで頭を撫でた。
『…もう、帰りな』
『でも、私帰り道が分からないよ』
『ああ、そういえばそうだったね』
すると辰也くんは、私の額に辰也くんの額をコツンと当てた。
ここから屋敷までの帰り道が頭の中で示される。
『…また、逢おうね。俺は大抵ここにいるから』
にこりと笑う辰也くんに見送られ私は屋敷へと戻った。
『……まさか逢うとは。あんなに小さかった名前がこんなに大きくなるとはね』
ーーーーーー
あれから帰った私は、こっぴどく怒られ結局お父様達が折れて仲間になったのだ。
それから監視の目を盗んでは、辰也くんに会いに行った。
『…ねえ、名前。俺には君しかいないんだよ、だからだから…』
ああ、なんでそんな哀しい顔をしているのだろうか。