「――松奏院家の懐刀の青峰大輝と緑間真太郎やな?」
「ああん?」
緑間が青峰の道草に付き合っていると目の前に黒い着流しに漆黒の刀を脇にさした眼鏡の青年が現れた。
「…なんの用なのだよ」
「いや、お宅の姫さんに用があるんやけど…」
青年の一言に二人は、身構える。
「何もんだてめぇ」
「まあまあ、そう怒りなさんなって」
ニコリと笑う青年。
「ワシは、お願いをしに来たんや」
「お願い…?」
「そうや。お願い。お宅の姫さん、くれへん?」
「「!!!」」
二人は青年の言葉に刀に手をかける。
「うちの主がひどくお宅の姫さんにご執心でなー。欲しいんやって。まあ、ワシも興味あるさかい…」
刀を掴む手が強くなった。
青年は、さっきと同じく笑いながら言う。
「お前になんかやねーよ」
「俺も青峰と同じ意見なのだよ」
「なんでや。まあ、断られるのは予想通りや」
青年は、目を薄く開く。
青年の目に二人はびくりと身体を揺らす。
「だって、そら興味引くやろ。『世界の中心のお姫様』やって」
青峰は、すぐさま刀を抜き、青年へと切りつけた。
「うおおおおっ!いきなりかい!」
「ごちゃごちゃうっせーんだよ。大人しく俺様の『龍松艶艶』に斬られるんだな!」
青峰が斬りつけるが、ひょいひょいと避けられる。
シュッ…
だが、青峰によって青年の左腕の着物が斬られた。
「さすが、松奏院家の懐刀の最強、青峰大輝や」
そう言って青年は、にやりと笑った。