「…そうですよ。それは、記憶です」
「っ、テツヤ」
「思い出せてるんですね。そのまま早く思い出してください。僕らの出逢いを。僕らとの思い出を。僕らの想いを全部全部っ!!」
「黒子っち…!!落ち着くっス!!」
暴走し始めた、テツヤを涼太が止める。
「…っ、なんで、なんであの日、いなくなってしまったんですかっ!なんで、なんで僕たちを置いていってしまったんですかっ!」
「テツヤ」
テツヤの言葉が止まらない。
征十郎が制止させようと名前を呼んでもテツヤは止まらない。
「あの契約を忘れてしまったんですか!?あの約束を忘れてしまったんですか!?」
「テツヤ」
カタカタカタとテツヤの刀が揺れ始めた。
まるでテツヤの心情を反映してるかのよう。
「…僕たちはどうやっても切れない絆で繋がっているのにっ!!どうして、どうして貴女は…離れていってしまうんですか」
ドクン。
ドクン。
テツヤの言葉が私の心をえぐる。
「黒子っち、落ち着いて、ほんとっ!」
「……ああ、また契約しなおさなくちゃですね。名前」
テツヤの声に落ち着きが戻った。
だけど、どこか変だ。
「っ、まずい。姫様、テツヤから離れて!!!」
征十郎が、声をあげる。
「え、」
「黒石真断」
凛とテツヤの声が響いた。
その声に反応して、私の首に下げてある群青の珠が光りだした。
―知ってる。
この光、知ってる。
なぜだか知らないけれど、涙が出た。