夢から醒めた現実

「んっ…」


ふと、気づき目を開ける。
そこには、先ほど見た天井が広がっていた。
そして、隣に感じる温もりを確認するために顔を横へと向ける。


「…!!!???りょ、涼太!?」


そう、黄色の髪をした涼太の顔がすぐにあったのだ。


「ん…っ、名前っち?」


ぎゅー


寝ぼけているのか、私の髪にキスをする。
この人恥ずかしいんだけど!!


「っちょ、離せ!!!」


「い、いたたたたたー!!!なんで、ほっぺた引っ張るんスか!!」


「なんで、こんなところで寝てんのさ!!」


そう言うと彼は、哀しそうに笑い始めた。


「ははは、だって俺今回から参加することになったんスよ?やっとの思いでこの松奏院家の仲間になることができたんス。だから、俺が今一番、名前っちとの信頼関係ができてないんスよ。ね、信頼関係を築こうっス!!」


また、ぎゅーっと苦しいくらいに抱きしめてきた。
そのとき、ふと人の気配を感じた。
涼太も急に真剣な顔つきになる。


「…名前っちは、ここで隠れていてください」


すっと、立ち上がり、歩き出す。
彼は、ぎゅうっと刀を握り締めている。


「…そこにいるの、誰っスか?」


彼は、ふすまを開けながら言った。
ふすまを開けるとそこには、黒髪の男性が立っていた。


「あ、この人…」


前、神社で会った男性だ。


「名前っちの知り合いっスか?…だけど、ここをどこだと思ってるんスか?」


「ここは、松奏院家ってことくらい知ってるよ」


にこりと笑う氷室さん。
涼太は、ぎりっと唇を噛みしめた。


「…不法侵入ーって言葉知ってるんスか?」


彼は、刀を抜き始める。


「だったら、殺しちゃっても構わないっスよね?」


にこりと綺麗な笑顔をうかべた。
すると、彼に切り付けに行く。


「涼太!?」


だめだ!!
彼には、効かないのに!!!


「…いきなり切りつけるなんてひどいなー」


氷室さんは、刀を素手で受け止めていた。


「なっ!?」


涼太も驚いている。
すると、氷室さんの目が涼太から私へと向けられる。


「…また逢ったね。名前。君を迎えに来たよ」


そう言って彼は、笑った。
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