はじいた手を

しばらくすると、廊下のほうが騒がしくなり、するとふすまが勢いよく開いた。


「名前、起きたんだな!」


にかっと笑いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でる青髪の彼。


「おい、青峰!名前の頭がぐしゃぐしゃになるのだよ、離せ!!」


青髪の人を止める緑髪の人を見ていると急に甘い香りに包まれた。


「うわっ」


「名前ちん、相変わらずいい匂いー」


紫髪の大きな人が後ろから抱きしめている。
しかも、私の首元に顔をうずめて匂いをかいでるし!!!


「…敦、離してやれ。姫様が戸惑ってるぞ」


「…赤ちんが言うならしょうがないしー」


そう言って名残惜しそうに離れた。


「ほらみんな、自己紹介をしなきゃ」


赤髪の彼が言葉を口にするとみんな動きを止め私を見た。


「俺は、青峰大輝」


「青峰さん…」


青髪の人は、にかりとさわやかに笑いながら自己紹介をした。


「俺は、緑間真太郎なのだよ」


「は、はあ」


緑間さんは、メガネをくいっと上げながら言った。
メガネが鼻眼鏡なのは言ってはいけないところだよね。


「俺は、紫原敦。久しぶりだね名前ちん」


紫原さんは、ぎゅっとまた抱きしめながら言った。


「はあ、敦ったら…俺は、赤司征十郎だ」


「赤司さん…」


「あ、あの、は、初めまして!俺、黄瀬涼太っス!」


黄色髪の彼がひょこっと出てきて顔を赤らめながら言った。
そして、彼が抱きついてこようとした。



『……ねえ、何でっスか』


『…何で、よ』


『何で俺じゃだめなんスか』


『ねえ…』



パシッ…


「え、」


「あ…」


思わず、手をはじいてしまった。


「お、俺悪いことしたっスか…?確かに、俺、今回からの新参者っスけれど…」


「…ご、ごめんなさい。私も何故手をはじちゃったのか分からなくて…」


はじいてしまった手を胸に寄せる。
この時、私は何故黄瀬さんの手をはじいてしまったのか分からなかった。
[*prev] [top] [next#]