アイシテルを贈る

※死ネタ・切ないのみ


「げほっ、ごほっ……はぁはぁ…」


だんだんと息が苦しくなってきた。
どうしよう。


「……名前、」


ふと、自分の名前を呼ばれた。
声がした方を向くとそこには、緑間がいた。
…どうしてそんな泣きそうな顔してるのさ。
どうしてそんなに私を見るのさ。


「緑間に言いたいことがあって」


「何なのだよ…」


「…ごめん、ね…はあ、緑間を残しちゃって…」


「そんな、お別れみたいなこと言うのではないのだよ…」


あはは、緑間の目から涙が溢れちゃった。
それを拭う気もないらしい。


「っ、もう、お前も緑間なのだよ…」


「あはは、そう、だね…っげほっ、真太郎」


二人の左手薬指には、お揃いのエンゲージリングがはめられている。
そういえば、昨日、籍を入れたんだった。


「ごめん、っ、ごめっしんた、ろっ」


「やめるのだよ、名前っ」


真太郎の優しい手が私の涙を拭う。


「私を、愛してくれて、ありがとっ。私を、み、見つけてくれてありが、と。私を…」


「もう、いい。もういいからしゃべるな」


真太郎、大好き。
愛してる。


「ごめんね、真太郎が、げほっ、くれた愛を返せ、なくて…」


「これから返せばいいのだよっ!」


返せそうにないから言ってるのに。
ああ、もう視界が揺らんできた。


「真太郎、私を、げほっごほっ、お嫁さんに、して、くれて…」


「名前っ!!!」


あー、ピーッピーッと機械音がうるさい。
医者も看護師さんも慌ただしく動いている。


「ありがと。私は、……世界一の幸せ、もの、だよ。……しんた、ろ」


そして、私の世界は闇に落ちた。
ありがとっ。
ありがとっ。
たくさんのものをくれた君へ。


愛してるを贈るよ



「っ、馬鹿なのだよ名前」


そこには、一人、涙を流す青年がいた。