過去の記憶に想いを寄せる

※薄桜鬼SSL
主人公=千鶴
沖田ルートGOOD END後
名前変換はありません。
千鶴は前世の記憶有りません。


「―――沖田先輩」


「あ、千鶴ちゃん」


昔のままの笑顔で僕を見る千鶴ちゃん。
屈託のない笑顔。
死ぬ前に見た千鶴ちゃんの笑顔は、苦しそうな笑顔だったのを覚えている。


「沖田先輩!見てください!」


「―――え、」


千鶴ちゃんの手には、花で作った冠があった。
あの日にあげた花の冠。


「私、なぜかこの花が昔から好きで…花冠作っちゃいました」


嬉しそうに言う、千鶴ちゃん。
嬉しそうにその花を愛しく見る目。
嬉しそうに頭に乗せた。


「―――、」


「あれ?沖田先輩?」


「―――千鶴、」


なんで、君は覚えてないんだろう。
なんで、君は僕の名前を呼んでくれないんだろう。
これはなに?
罰?
前世で君を置いて先に逝った、僕への罰?


「沖田先輩」


千鶴ちゃんの手が僕の頬に触れた。


「泣いてますよ?」


いつの間にか、泣いていた。


「ははっ、ほんと君ってひどいよね」


「え!?」


「何でもないよ」


ねえ、いつかまた思い出してくれるかな。
また、僕との未来を歩みたいって言ってくれるかな。
その日までずっとずっと待つよ。
今度こそ、君を置いて逝ったりしない。


「千鶴ちゃん、愛してるよ」


「!?沖田先輩!?」


―――――
幸せな二人の未来を願って。