Happy Birthday!

※青桃な雰囲気もありつつ、青峰夢


ある日、届いたのは1通の手紙だった。
名前もない、真っ白な手紙。


「……俺宛て、か?」


俺の机の上にあるのだからそうなのだろう。
俺は、その手紙をとり封を開けた。
その瞬間、何故か懐かしい匂いがした。


『拝啓 青峰大輝様
夏の暑い日差しをどうお過ごしでしょうか。
さて、急に手紙を送ったことに大変戸惑っておられるのだと思われます。
それについては、大変申し訳なく思います。
ですけど、ひとつ言わせてください。
貴方を愛してます。
大好きです。
どうか、大輝に幸せを』


いきなり、告白された。
でも何故か、それを気持ち悪くも思わなかった。


「……誰だよ」


差出人は、誰だよ。
でも何故か懐かしい文字な気がした。


「…青峰くん?」


「、さつきか」


「どうしたの?」


「なんでもねーよ」


俺はさつきに見つからないように、手紙をポケットに入れた。


―――――――


また、机の上に、手紙が乗っていた。


「……また、か。これで5日間連続だぞ」


真っ白い封筒。
毎日見ている封筒。
封を開けると匂う香りに、泣きたくなる。


「……今回は、なんて書いてあんだよ」


ペラ、とめくる。


『―――大輝へ

誕生日おめでとう。
今日も明日もずっと、愛してるよ』


どくん、と心臓が鳴った。


「―今日、誕生日だったのか…」


忘れていた。
手紙の文字に泣きそうになった。


「青峰くん、」


「さつき…」


後ろから声をかけられた。
その声は、いつも聞いている幼馴染みの声。


「おい、この手紙…」


「……気づいた?名前ちゃんからの最後の手紙だよ」


やっぱり。
匂いも文字も名前のものだった。


「名前ちゃんの最後の頼みだよ」


その言葉に、涙が零れた気がした。


「っ、はっ。なんだよ、あいつ」


「青峰くん」


「馬鹿じゃねーの。こんなことしやがって」


「青峰くんっ」


「こんなことして、何がしたいんだよっ。何を伝えたかったんだよっ…」


「青峰くん!」


さつきの声がはっきりと聞こえた。


「手紙に書いてあることが全てだよ、大ちゃん」


その言葉に、俺の何かが壊れた。


「愛してるなんて、言葉…」


「―――大ちゃん、」


さつきが、昔のように名前を呼んだ。


「誕生日おめでとう」


さつきの笑顔と言葉に、俺は少し微笑み返した。


「――ありがとな、さつき」


「っ、うん!」


Happybirthday!青峰大輝