8月某日の話。

※意味不明なお話。




何度だって願っていたんだ。
君との未来を。


「ねえ、もう、やめよう?」


「名前っち!嫌だよ!!嫌っス嫌、嫌嫌嫌嫌、嫌っス」


「私ね、涼太と一緒の未来を歩めて幸せだったんだ。涼太と手を繋いでいろんな道を歩いたり、涼太のバスケしてる姿を見たり、黒子くんや赤司くん、青峰くんやさつきちゃんや緑間くんに紫原くん。みんなとも楽しくお話しできたし、バスケもした」


「名前っち、嫌だ。嫌だ!!嫌っスよ!!」


涙で視界がぼやける。
名前っちの顔が見えない。


「ねえ、もう、十分だよ」


「いや、いやだ、よ名前っち。俺は、離れたくないっス」


表情は見えなくても、唯一名前っちを掴んでいる手が名前っちの存在を証明してくれいた。


「私、幸せだったよ」


「やだやだ!!絶対に、離さない!!俺は、どんなことをしてでも名前っちとの未来を歩むんスよ…!!!」


「…涼太、もう、やめようよ」


ぐらり、と何かが動いた気がした。


「私は、十分幸せにしてもらったよ。こんなにも明るい未来を涼太と歩めたよ。ねえ、もういいよ。涼太、もう、終わりにしよう?」


「やだよ…!!!そんなこと言うなよ!!何のために、何のために俺は、いろんなものを犠牲にしてきたんスか…」


「涼太、ありがとう。もう、いいよ。こんな世界、終わりにしよう?」


「いやだ、いやだ!!俺は、俺は…!!」


たくさんのものを犠牲にしてやっと手に入れた未来なのに。


「涼太、これは『未来』じゃないよ。ただの『空想』だよ」


「っ!!」


「何度も、同じ夏を繰り返している『空想』だよ。ねえ、涼太、思い出して。あの夏を、あの暑い夏の日を」


いやだいやだいやだ。
俺は、名前っちとずっと一緒にいたくてやっと手に入れた『世界』なのに。


「涼太、もう夏を繰り返すのはやめよう。あの1日を繰り返すのはやめよう?」


「…名前っち…」


「もう、現実を、受け入れてよ……」


「いや、スよ…」


名前っちの温もりが消えそうになる。


「私は、あの日に死んだんだよ」


君との未来を手に入れるためなら、何度だって繰り返すよ。
たとえ君に否定されても。
8月の暑い日を。



BGM:カゲロウデイズ/じん(自然の敵P)