それは、大切なあなたに贈る。
――――――
「「しーんちゃんっ!」」
私と高尾は学ランをきっちりと着こなす真ちゃんに二人でそろえて声をかけた。
まだ、朝7時半ということもあり、教室には誰もいない。
ちなみに今は期末テスト週間なので朝練がないのだ。
「……なんなのだよ」
じろり、と後ろを向き答える真ちゃん。
その手には、トイレの消臭剤を手にしていた。
通りでいい匂いがするわけだ。
「高尾!」
「おっけ!名前ちゃん!」
私と高尾は計画通りにことを進める。
高尾は真ちゃんに近づき、後ろから動きが取れないようにする。
そこに、私は用意しておいた生クリームたっぷりのケーキを顔面に向かって投げた。
「―――っ!名前っやめるのだよおおおおおおおお」
べちゃり、と大成功の音がした。
「高尾!ナイス!」
「名前ちゃんもね!」
グッと固い握手をする私たちの後ろで怖いオーラが流れた。
「高尾に名前、」
「っ!真ちゃん!落ち着けって!なっ!」
「そうだよ真ちゃん!!よし、高尾、いくぞ!」
「よし!」
私と高尾はもともと用意していた誕生日プレゼントを真ちゃんに差し出す。
「「真ちゃん!誕生日おめでとう!!」」
「――――は?」
真ちゃんは顔にクリームをつけながら目を見開いた。
「だからー、今日は7月7日!真ちゃんの誕生日!」
私が言うと、やっと何のことかわかったのか真ちゃんは目をぱちくりさせた。
下まつ毛が長くていいな!
「真ちゃん、おめでと!」
「生まれてきてくれてありがと!」
私たち二人分の誕生日プレゼントを手に抱えた真ちゃんは、下を向いていて表情はよく見えないが耳まで真っ赤になっていた。
その耳を見て、私と高尾は笑いながらガッツポーズをしたのだった。
Happybirthday!緑間真太郎!