※相互記念にBミモザ様に捧げます!
遅くなってしまいすみません!!
大好きです!!!
もし、地球が残り24時間で滅亡するなら、貴女は今誰に会いに行きますか?
そんなセリフを言っていたテレビアナウンサーが昔いたけど、まさか本当に滅亡なんて。
私は、ふと立ち上がり家の鍵を持って玄関の扉を開けた。
―――AM10:00
「ん、あ、火神くんだー!」
「ん?名前じゃねーか」
家を出て数分。
目の前に背の高い赤を見つけた。
話しかけると、やっぱり火神くん。
「なんかさ、今日で地球終わっちゃうんだってね」
「あー、テレビでそんなことも言ってたな」
「火神くんはどうやって過ごすの?」
「考えたんだけどよ、思いつかなくて。今こうしてぶらぶらしてんだわ。名前は?」
「ふーん。まあ、私もそんな感じかな」
そこで、私たちは別れた。
―――AM11:00
「名前、何をしてるのだよ」
「あ、名前ちゃんじゃーん!どったの?」
「いやいや、君たちこそどうしたの。今日で地球最後なのに」
火神くんと別れて、当てもなく歩いていると後ろから緑間くんと高尾くんに声をかけられた。
こんな日でも二人そろうんだね。
「あー、真ちゃんと二人でさっき先輩たちのところに行って来たの!」
「なるほどね。って、あれ?緑間くん、今日はラッキーアイテムもってないの?」
私がそう言うと、めったに笑わない緑間くんがふわりと笑みを見せた。
「え、」
ぽん、と頭に大きい手を置かれた。
心なしか高尾くんも笑っている気がする。
「…また、絶対に会うのだよ」
「じゃーねー!名前ちゃーん!」
そのまま二人は去って行った。
高尾くんが手を振るのをやめるまで私は、二人を見つめた。
―――PM0:00
今日、みんなによく会うな。
私は川の近くまで歩いてみると芝生の上で寝ている黄瀬くんを見つけた。
「黄ー瀬ーくーんー!」
「名前っち!?どうしたんスか!?」
「今日さ、地球最後の日だから街を眺めよーって思ってさ。黄瀬くんは?」
「…んーまあ、名前っちと同じ理由っスかね」
「やっぱりそういうもんだよね。地球最後の日とか言われてもさ実感わかないし。いつも通りの真っ青な空が広がっているだけだもんね」
「そうっスね。……ああああ!」
急に叫び始めた黄瀬くんにびっくりした。
「ど、どうしたの!?」
「もう、みんなに会えなくなるんスね…そう思うと寂しくて」
「……天国に行ってもよろしくね」
「当たり前っスよ」
少し涙をこらえた笑顔で言われ、私もつられて泣きそうになった。
―――PM1:00
「あ?名前じゃねーか。何してんだよ」
「青峰くんじゃん。青峰くんこそどうしたのさ」
「ああ、地球最後の日って言われても何していいかわかんねーからよ、これからバスケしようと思って」
ふと見ると、青峰くんの右手にはバスケットボールがあった。
「ふふ、青峰くんらしいや」
「名前もやんねー?みんな、連絡つかねーから俺しかいねーんだよ」
「んー、私もう少し散歩したいから散歩が終わったら行くよ」
「わかった。待ってるぜ」
そう言って、青峰くんはバスケットボールを人差し指の上で回しながら歩いて行った。
―――PM2:00
ふらふら歩いていると、公園で座って読書をしている赤司くんを見つけた。
「赤司くんは、特別何かしないの?」
「名前か。そういうお前はどうなんだ?」
「インドア派の私が散歩っていう特別なことをしてるけど?」
「…まあ、そうだな。珍しい」
「今までお世話になりました」
「……急に改まってどうしたんだ。何か変なものでも食べたのか?」
「別にそういうんじゃないよ。だって私たちもう二度と会えないかもしれないんだよ?だからお礼を言っとこうと思って」
「…そういうことか。だが、名前。一言言っておこう」
「ん?」
綺麗なオッドアイの目で見つめられた。
「僕の言うことは絶対なんだよ」
「…?知ってるけど?」
赤司くんはそう言って立ち上がった。
そのまま、口の端を上げて笑いながら去って行った。
「……何だったんだろう」
―――PM3:00
「名前ちーん」
ぎゅうっ
「ぐふっ、ちょ、紫原くん重い重い!」
不意打ちに大きい紫原くんに抱き付かれる。
「ねえ、お菓子もってねー?」
「お菓子?あ、そういえばポケットに非常食用の飴入れてたわ」
はい、と渡すと紫原くんは嬉しそうにして飴をなめ始めた。
「ありがとー!じゃーねー!」
そう言って手を振る紫原くんに私も手を振って背中を見届けた。
―――PM4:00
あと一人に会おうとくまなく歩いているけど一向に会わない。
まあ、彼は影が薄いからな。
「!名前さん!」
すると、まさか探していた人から声をかけられた。
彼―黒子くんは走っていたのか息切れをしていて汗もかいている。
「やっと、見つけました!!」
そう言うや否や、黒子くんは私の腕をつかみ走り出した。
「え、ちょっ黒子くん!?」
「あとで説明するので今は走ってください!」
黒子くんはやっぱりバスケ部なもんで足が速い。
私もきついが黒子くんに迷惑をかけないように走る。
「…つきましたよ」
急に止まった黒子くんに対して、私は久しぶりの全力疾走だったもんで膝に手をつき息を整える。
「「「「「「「「「名前!/っち!/ちゃん!」」」」」」」
名前を呼ばれ顔を上げると、そこには夕日の逆光が当たっている、さっき私が会った面々だった。
「え、なん、で…」
「地球最後の日なんです、みんなで一緒にバスケしませんか?」
黒子くんに手を引かれ、みんなのもとへ行く。
少ししてから、さつきちゃんも来た。
綺麗な夕日が私たちを照らしていて、今日本当に地球が滅亡するのかと疑いたくなった。
「名前」
「赤司くん、」
「僕の言ったことは絶対だってさっき言ったよな」
「うん」
「僕らはこの世界で死んだとしても、必ずめぐり合う。そして、また一緒に笑いあって一緒に泣きあって一緒に遊んで、一緒にまたこうやってバスケをする」
コートの中のみんなが盛り上がる。
黒子くんがシュートを入れたらしい。
同じチームの火神くんと高尾くんが喜んでいる。
「だから、もう二度と会えないなんて言うな。会えないんじゃない。会うんだよ、また」
ぽん、と頭を撫でられる。
その赤司くんのやさしさに涙が出た。
私の隣に座っていたさつきちゃんは、ぎゅうと私を抱きしめてくれた。
「あれ?名前っちどうしたんスか?ってええ!?泣いてる!?」
「え、名前ちん!?どこか痛いの?お菓子いる?」
「……名前さん!?大丈夫ですか?黄瀬くんに何かされましたか?」
「え、黒子っち俺じゃないっスよ!」
「名前、何泣いてんだよ。元気出せよ」
「青峰の言うとおりだぜ」
「名前ちゃん、大丈夫?ほら、真ちゃんも何か言ってやれよ」
「……名前、今日のお前のラッキーアイテムは、『奇跡』なのだよ」
ぽんと、緑間くんに肩を叩かれた。
涙を拭くこともせず、顔を上げると、そこには確かに『奇跡』があった。
みんなで頑張ったあの青春の日々に築き上げた『奇跡』が確かにあった。
「…だったら、今日の私は運がいいね。だって、こんなにも『奇跡』があるんだから」
私が涙でぐしゃぐしゃな顔で笑うとみんなもそれに答えて笑ってくれた。
「また絶対、みんなで一緒にバスケしようね!」
「ああ。絶対に、な」
赤司くんが言うんだもん。
絶対に実現される。
それがどれくらい後なのかわからないけど、絶対に。
―――PM6:30
地球滅亡まで残り、5時間半。
愛していました、この世界
title by酷白。