一番甘いもの

「好きです、付き合って下さいっ!!」


そう、顔を赤らめて部活帰りに告白をされて早5年。
私達は今も付き合っている。
大学4年の今。
みんな、就職活動している。
私もそうなんだけどね。


「ただいまー」


お、涼太が帰ってきた。


「おかえり。今日はどうだった?」


「ドラマの撮影疲れたっス。あ、名前にお土産っスよ!」


涼太は、大学に通いながらモデルをしていて、今では俳優業もしている。
今日は、涼太が主演の月9ドラマの撮影だったらしい。
涼太は、手に持っている荷物をテーブルに置く。
そこには、ピンク色の箱があった。
…!!
これは、まさか…!!


「その、まさかのミルフィーユっスよ」


涼太は、笑いながら箱を開ける。


「わー!!美味しそー!」


「うん、ほら名前、ミルフィーユの前に夕飯っスよ。名前の手料理早く食べたくて急いで帰って来たんスからね!!」


「はいはい。じゃあ、早く着替えてきてね」


「はいっス!!」


涼太は、顔を赤らめて寝室へと向かった。
さて、私はその間に作っといたビーフシチューを温めますか。


***********


「ふんふふんふふーん」


鼻歌を歌っているその時だった。


ぎゅっ


後ろから涼太に抱きしめられた。
ほのかに香る柑橘系の匂いに安心する。


「涼太?どうしたの?」


「名前、好きっス」


「ちょ、ほんとに急にどうしたの?」


さっきよりも強く抱きしめられる。
顔が赤くなるのが分かった。
すると、涼太は、私の肩に顔を埋めてきた。


「名前、好き。大好き。愛してる」


涼太の愛の言葉に顔が赤くなる。


「わ、私も愛してるよ」


涼太は、私の左手を取った。
その薬指に指輪がはめられる。


「っ、え…」


「よし、サイズぴったりっスね」


指輪がはまっている薬指に涼太は、キスをした。


「名前、結婚してください。名前の未来、俺にちょうだい?」


涼太の言葉に涙が出た。


「え、ちょ、名前!?なんで泣いてるんスか!?」


「…嬉しくて」


「え、」


「嬉しくて泣いちゃったよ」


「…っ、てことは!」


「私のことこれでもかっていうくらい幸せにしてよね!」


そう言うと涼太は、一瞬目を見開いてそのあとにすぐに幸せそうに笑って私の唇にキスをした。


「当たり前っスよ」


そのキスは、今までで一番甘かった。