いつの間にか俺には気になる子ができた。
でも、その気になる子は俺の親友の彼女なわけだ。
「……真太郎ー!」
「ん?名前か。どうしたのだよ」
「昨日借りたCDを返そうと思って」
あ、名前ちゃんが来た。
いつも真ちゃんのところに来る名前ちゃん。
聞いたところによると名前ちゃんと真ちゃんは中学のころから付き合っているらしい。
「あ、高尾くん!おはよー」
「!おはよ!」
にこやかに手を振ってくる名前ちゃん。
真ちゃんとは反対の性格で、元気がよくいつも笑ってる名前ちゃん。
あの二人がよく付き合えていると思う。
だって確実に合わないだろ。
「名前、今日のラッキーアイテムだ」
「え、私今日のラッキーアイテム、サランラップなの!?」
ラッキーアイテムを名前ちゃんにあげる真ちゃん。
もらうときに嬉しそうに笑う名前ちゃん。
ああ、そんな顔をされると真ちゃんに嫉妬してしまうよ。
「あ、もうちょっとで授業だ!じゃあ、またね!」
真ちゃんに笑いながら手を振る。
「高尾くんもー!」
目が合った俺にまで手を振ってくれる。
かわいすぎる。
真ちゃんにはもったいない。
「名前ちゃんってかわいーな」
「当たり前なのだよ。俺が惚れたやつなんだからな」
くいっと眼鏡を上げながら言う真ちゃんにどす黒い感情が芽生えた。
「惚気はやめろよなー」
自分は今上手く笑えているだろうか。
――――――
「…ねえ、だからさ。名前ちゃん」
「っ、た、高尾くん!?」
目の前には恐怖でおびえる名前ちゃん。
ここは、俺の秘密の部屋。
地下にあるから誰にも見つかることはない。
「真ちゃんじゃなくて、俺にしねぇ?」
「…!!いっや…」
バシンッ
ああ、思わず頬を叩いてしまった。
「ごめんな。痛かっただろ?でもさ、名前ちゃんが悪いんだよ?俺のことをさ拒否するから」
俺に叩かれ、赤くなった頬に手を滑らせる。
真ちゃんもこうやって名前ちゃんの頬に触れたのだろうか。
「名前ちゃん、大好き。愛してるよ?」
「…高尾くん、冗談ならやめて。私をここから出して」
「……はあ、名前ちゃんって学習しないんだね」
ガッ…
「いっ!!!!」
名前ちゃんの腹を蹴ってしまった。
「馬鹿だね、素直に受け入れていればいいのに…もうやめてね?俺さ、あんま名前ちゃんのこと傷つけたくねーんだ」
肩で息をしている名前ちゃんは、俺を睨み付けてくる。
「…でもさ、そんな名前ちゃんも俺さ、愛してるからさ」
名前ちゃんの腕をつかみ、無理やり立ち上がらせ、ベッドに押し倒す。
「た、高尾くん…?」
「和成、だよ。かーずーなーりー」
「っ、か、和成。何、するの?」
恐怖の表情が、そそられる。
「このままさ、既成事実作れば俺から逃げられないよね?」
「…え?」
「これから子づくりしよっか。俺ね、きっと名前ちゃんの血が入ってる子供なら愛してあげられるから」
にこりと笑い、俺は名前ちゃんの唇にかみついた。
――――――
title by毒菓子