※歪み・監禁
ガチャガチャ
誰かが部屋のドアノブを回している。
その音で目が覚めると、ふと隣にあるいつもの温もりが無い事に気付いた。
その温もりの主は、目の前の扉を開けようと必死にドアノブを回していた。
「っ、開かないっ…」
足音がしないよう、彼女に忍びよる。
「……無駄だぜ、名前」
ぎゅっと後ろから抱きしめると、面白いくらいにビクつく名前。
その彼女の首筋に一つ唇を落とす。
「っ、だ、大輝っ」
「もう何度目だ?お前は賢いからわかるだろ?それは、お前じゃ開けられないって」
「っ!!」
名前の表情が青くなるのが分かる。
「名前、お前をここに閉じ込めているのはお前のためなんだよ。外の世界はお前にとって汚い世界だからな。だからここにいればお前は綺麗なままなんだ。お前なら分かってくれるだろ?」
すうっと名前の頬を撫でる。
キメが細かい名前の肌は、吸いつくようになめらかに滑る。
ずっと撫でていたい。
「っ、大輝。お願い、出して」
「…はあ」
なんで、こいつは分からないかな。
外の世界は汚いって。
お前をいやらしい目で見る害虫ばっかだって。
なんで分かんねーんだよ。
「だーめ。お前を出す気なんてサラサラねーよ」
「嫌だよっ、もう太陽だって随分見てないんだよ!?」
名前は、俺の腕をどけて振り返り真っ向から睨みつけてくる。
その睨みも俺にとっては、興奮のための1つの材料でしかない。
「…太陽なんていらねーだろ?俺がいれば」
「っ!」
名前の腕を扉に縫い付けるように押さえる。
ああ、その顔そそる。
「お前は、俺から逃げらんねーんだよ。このまま、俺に囚われてりゃいんだよ」
そう言うと名前は、抵抗が無駄だとわかったのかへなへなと床へ扉を支えに伝っておりていった。
「……大輝」
「んだよ」
俺はそれを見届けてから、ベッドサイドにある棚へ行き、上から二段目の鍵のついている棚を開ける。
その中には、名前との思い出の写真が沢山入っていた。
「……大輝」
「だから、なんだよ。まだ抵抗すんのか?拒否の言葉なんて聞かねーよ?」
その中のお気に入りの1枚を取り出す。
ああ、何度見てもお前はかわいいな。
その写真は、二年前の帝光での写真。
キセキの世代も写り、テツもさつきも名前も写っている。
「………大輝、大っ嫌い」
「……拒否の言葉なんて聞かねーって言ったんだけど?」
名前の言葉を聞いた瞬間、手に持っていた写真を無意識のうちに握り潰していた。
「俺は、狂いそうなくらい愛してるぜ」
その写真の中の名前の笑顔はくしゃくしゃに潰れていた。
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深紅様に提出。