そうでもしないと気づいてくれなかっただろうからね。

「あ、テツ君だー」


「こんにちは、名前さん」


お母さんに買い物を頼まれて、街へ出かけると見知った空色の髪が見えた。
そして、声をかけると案の定、友達のテツ君だった。


「あれ、今日は、部活休みなの?赤司くんなら毎日練習してそうなのに」


「今日は、体育館が使えないので久しぶりの休みなんですよ。赤司くん、嘆いてました」


「あはは、目に見えるー」


それから私たちは、お互いの買い物に付き合うことになった。


ーーーーーー


「本日は、買い物に付き合わせちゃってごめんね」


「いえ、僕も買い物に付き合わせちゃいましたし」


私が謝るとテツ君も申し訳なさそうに言った。


「お互い様だね」


「そうですね」


…テツ君も男の子なんだなー。


「…そんなに見つめてどうしたのですか」


「いや、やっぱりテツ君も男の子なんだなーって思ってさ」


「は?」


「だって、こうして二人きりになると背が高く見えるし」


その理由は、周りの環境のせいかもしれないけどさ。
高い人間ばっかだもんな。


「…名前、さん」


「え?」


ちゅっ


「!?!?」


キス、された。
ファーストキスだったんだけど。


「名前さん、見るからに鈍そうですもんね」


「く、テツくん!?」


「僕も、男の子なんで狼なんです」


その言葉に顔が赤くなる。


「な、なんでっ…!」


「なんでって、そりゃ、そうでもしないと気づいてくれなかったでしょう?」


「なっ!!!」


「真っ赤な顔の名前さんもかわいいですね」


狼テツ君、すごい積極的。


「さて、覚悟しててくださいね」


その言葉に、私は負けそうな気がした。


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愛くるしい様に提出。