過去拍手A

※櫻籠り恋歌
ある少年の独白



僕があなたに仕えるなんて血の宿命だった。


それが当たり前だった。


「いいかい?僕ら、黒子家の主は松奏院家だ。彼らがいなければ僕らは意味をなさない。だから、覚えておけ。骨が折れるまで、死ぬまで彼らをお守りするんだ」


父にずっと言われ続けた言葉。
自分でもなんとなくだが、分かっていた。
そのことは、深く血に根付いているようだった。


「だから、血の一滴まで僕はあなたをお守りするんです」


目の前には、おびただしい血を流す僕の主。
さきほど、仲間だった黄瀬に斬られた主。
大切な。
世界の何よりも大切な主。


「…また、守れなかったですね」


あの日、誓った忠誠。
その忠誠は、なんだったのだろうか。
なんのためだったのだろうか。


「……僕は、あなたを血の一滴まで愛してるんですよ」


だから、お願い。
目を覚まして。
瞳を開けて僕を見て。


「…僕は、桜なんて大っ嫌いですよ」


だってあなたが僕をおいて死ぬ季節ですから。




もう、さよならは嫌なんです


また、逢いましょう。
来世で。





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主人公が死んだあとの黒子くんの独白です。
彼には、幸せになって欲しいです。