他愛のない日々こそ (1/4)
あの日は跡部に無事に送ってもらい、そして忍足と幸村が悠凪の部屋にあらゆる術式を施した。
その後は、特に問題なく悠凪は学校へ通っている。もちろん、みんなには跡部達の事は話していない。
エクソシストである柳生とジャッカルには話した方がいいんじゃないかと向日が言ったんじゃが、跡部は言わない方がいいと言ったのと幸村も言うつもりはないって事で黙っている事になった。
ちなみに赤也が吸血鬼と言うことを跡部達には、言っていない。跡部の洞察力で気付けないくらいじゃから…言わんでもいいという結論じゃ。
「悠凪ー、ドリンクくれい」
「うん。はい、ブン太」
「あ、俺にもお願いッス!」
「はい、赤也も。雅治は?」
「貰うぜよ」
テキパキとマネージャーの仕事をする悠凪を見ながら、このまま何事もなく過ごせたら…なんて甘い事を考えていた。
悠凪は、俺等と一緒にいたいと言ってくれたが…最終的に高校を卒業するかまで一緒にいられるかわからないと言っとった。
理由は、詳しくはわからんが悠凪本人がそう言っとったからのう。なんかしらあるんじゃろうけど。
「のう、悠凪?」
「うん?なに?」
「お前さんは、ここが好きか?」
「うん、すき」
「そうか、ならよか」
「雅治は?」
「お前さんと同じじゃよ」
「うん、そうだね」
先程まで悠凪から嬉しそうにドリンクを受け取っていたブンちゃんと赤也は、何故か休憩中なのにラケット片手にプチ試合をしている。
悠凪に見ててくれと言わんばかりに張り切る2人に悠凪は、頭を傾げながらもがんばれ?と小さく呟いた。
次に真田がドリンクを取りに来て悠凪の隣に座るとブンちゃんと赤也を見てため息吐いた。
「休憩だと言っただろうに、あいつ等はなにをやっとるか」
「張り切っとるんじゃろ、でもいいんじゃなか?練習もちゃんとしとるし」
「ふふふっ、あの2人は本当に悠凪が好きだね。いっそ、清々しいくらいに」
「あの2人は、分かりやすいからのう。でも本人達は、バレてないと思っとるぜよ」
「た、たるんどる!し、しかし…悠凪は、どう思っているのだ?」
真田にしては、珍しいと言うかいつもなら言わないような事を言い出したせいであの幸村も一瞬目を見開くが悠凪は、なにが?といった様子で頭を傾げていた。
悠凪には、そういう気持ちがよくわからないのか…それとも単純に鈍いだけなのか。
まぁ、悠凪の今までを見てると多分後者じゃろうな。
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