(4/4)
そして結果的に悠凪は、渋々といった様子で幸村の言葉に頷いた。
「俺様もそのくらいの期間なら面倒をみてやらねぇ事もねぇが」
「跡部に頼るのもなんか腑に落ちないんだよね。でも、なにかあれば頼むよ」
「場所はどうするんじゃ?さすがに今まで通り、マンションって訳にもいかんじゃろ」
「俺ん家でいいよ。親は、死神の仕事で常に家にいないし。なんなら、地下に結界貼ってそこにいて貰うし」
「…精市?あたし、大丈夫だよ?」
とりあえず、まともに動けない悠凪の意見は無視じゃ。
それに死神最高位の幸村ん家ならある程度は安全じゃろうし、問題はないじゃろ。
あるとすれば、さっき跡部に睨まれてからずっと黙ってる赤也くらいじゃろう。
「輸血の道具はどうする。さすがに今のままじゃ回復するのに時間掛かんだろ」
「悠凪が自ら吸血してくれれば問題ないんだけど。悠凪?」
「……大丈夫だから、血…要らない」
「跡部、輸血道具の準備よろしく。後、エクソシストの動向も随時連絡して」
「そのくらいしてやる。なんなら、俺様が直々に悠凪の監視をしてもいい」
「それは悠凪が逃げ出しそうだし、なんか不安だから遠慮する」
悠凪がなにか言いたそうな顔をしているが、幸村と跡部は無視して話を進める。
それに気付いた赤也が悠凪の手を握ると悠凪は、ビックリした様な顔をしつつ嬉しそうだった。
しかも何故かそんな中、俺の視線に気付いたのか悠凪が手招きをしてくる始末じゃ。
まぁ、呼ばれたからには行くんじゃが。
「…雅治?あたし、いていいの?」
「ダメならとっくにお前さんは、ここにおらんじゃろ」
「そうッスよ!むしろ、俺は悠凪先輩にずっとここにいて欲しいッス!!」
「…ん、赤也ありがと」
「えへへっ…当たり前ッス!それに俺は、悠凪先輩と一緒ッスから!」
「それなら俺も悠凪と一緒じゃ。まぁ、赤也とは違うがの」
「に、仁王先輩!なんか言い方に棘があるッス!」
「さぁて、なんの事かの?」
赤也とそんな言い合いをしていると不意に悠凪が微かに笑った。
ずっと悲しそうな顔をしていただけあって、それを見た赤也が嬉しそうに笑った。
やっぱり、悠凪には笑っとって欲しいと願うんは、ダメな事なんじゃろうか。
(ふふ、随時と楽しそうだね)
(ゆ、幸村部長…!)(ゆ、幸村…)
(…精市?あたし、がんばる)
(ん?なにをだい?)
(ん、ん…早く元気になる)
(ふふ、無理しないでいいよ)
(とりあえず、切原も関わった以上は仁王辺りに魔術でも教わっとけ)
(ま、魔術っスか!?)
(前から赤也の霊力が強い気がしてたんだけど吸血鬼の魔力だったみたいだし)
(俺、戦闘得意じゃないんじゃがな)
(あたし…教える?)
(悠凪は、ダメ。安静にしてなきゃ)
(ん…う、うん?)
prev|next