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それにしても困ったのぅ。

跡部が言うように俺と幸村だけじゃ、どうにもならん。まぁ、ジャッカルは協力してくれそうじゃが、柳生は無理じゃろうし。

それにブンちゃんの事もあるからのぅ…そう考えるとジャッカルも無理そうじゃな。



「死神で保護する訳にもいかないんだろ?アーン?」

「別に出来ない事はないけど、エクソシストが黙ってないだろ」

「まぁ、引き渡せって言われるだろうな」

「……っあたし、大丈夫だよ」

「悠凪!?」
「悠凪先輩っ!!」



不意に悠凪の声が聞こえたと思ったら、ゆっくりと悠凪が起き上がっていた。

輸血のおかげが顔色こそ余りよくないが、傷は全て回復したらしく傷一つなくなっていた。

そして赤也が泣きそうな顔をして一目散に悠凪の元に駆け出す。



「悠凪先輩っ…!大丈夫ッスか!?すんませんッ…俺のせいで…」

「…大丈夫だよ?赤也、大丈夫?痛くない?」

「俺は、大丈夫ッス…。悠凪先輩は、俺より自分の心配して下さいよ」

「…赤也、また血くれた。雅治もごめんね」

「謝るんはなしじゃ。体は、もう大丈夫なんか?」



俺の問いにすまなそうな顔をしてゆっくりと頷く悠凪に赤也が抱き付く。

いや、いくら大丈夫だからってお前は少し自重するべきじゃ。それに悠凪の事じゃき、本当は無理してるかもしれんし。

だが、悠凪は悲しそうな顔で赤也の頭を撫でるだけだった。



「おい、お前はどうするつもりだ」

「だから悠凪は、俺がどうにかする。悠凪には、聞かなくていいよ」

「…あたし、ここから離れる」

「なっ…悠凪先輩っ!?」



跡部の問いに悠凪は、ゆっくりと顔を上げると悲しそうに笑った。

俺等を巻き込んだと思っとる様で、自分がいなくなれば俺等が巻き込まれたりせず安全だと思ったんじゃろうな。

その言葉に赤也がなんでッスか!?と凄い勢いで食い付いとる。そりゃあ、赤也からしたらなにがなんだかって感じか。



「悠凪?お前の気持ちはわかるけど、その体じゃ今すぐには無理だろ?」

「…ん、大丈夫だよ?」

「俺、嫌ッスよ!?悠凪先輩がいなくなるとか!!!」

「切原は、黙ってろ」

「…正直、俺も悠凪にはここにいて欲しい。だから、体力が回復するまでもう少し考えてくれないか?それまでは、俺が出来る限り守るから」



幸村の言葉に悠凪は、チラリと跡部を見るがすぐには頷かんかった。

それにこの状態で悠凪を行かせるのは、すぐにエクソシストに捕まりそうじゃし、俺も反対じゃ。

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