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もちろん、他の連中もそれに気付いた様で悠凪の事をジッと見つめていた。

ちなみに悠凪の瞳の色は、黒だった。



「悠凪…先輩?」

「…ぁ……ゃ?」

「悠凪先輩ッ…そうッス!赤也ッス…!」

「…あか、ゃ…血くれた?」

「まだ必要ならッ!」

「………(ふるふる)」



一応、意識が戻った様だがまともに話せない程に衰弱している悠凪は、赤也の申し出にふるふると顔を振るとすまなそうに笑った。

そしてゆっくりと周りを見渡すように視線を動かし、俺と目が合うと悲しそうに笑ったかと思うと脳内で声が聞こえた。



「"赤也、守れなくてごめんね"」

「何を言っとるんじゃ。お前さんは怪我どころか記憶まで消して守ろうとしたじゃろ」

「"でも守れなかった、ごめんね?みんなに迷惑、掛けた…だから"」

「…そんなん気にしとらん。じゃから、帰るんじゃ」

「"あたし、動けないから…みんなは帰って"」

「バカな事言うんじゃなか」



言葉を発するのさえ辛いのかテレパシーで話し掛けてくる悠凪は、悲しそうに笑っていた。

そしてなにがなんだかの他の連中に事情を説明すると赤也が涙を拭うとゆっくりと悠凪を抱き抱える。

それに対して悠凪が珍しく吃驚した顔をしているがすぐに悲しそうに笑った。



「…悠凪先輩、俺の事より自分の心配して下さいよ」

「"……赤也、ありがと"」

「…俺、なんも出来なくて…」

「………(ふるふる)」

「チッ…仕方ねぇな、悠凪は当分俺様の別荘で体を休めろ。そんくらいはしてやる」



そう言うと跡部は、この場の処理を他の氷帝の連中に頼むと赤也に付いてくる様に言って歩いて行った。

そして幸村は、死神として記録をしなくちゃならないのと悠凪と赤也を襲ったこのエクソシスト達に聞きたい事があるからとその場に残ると言った。

一方、柳生とジャッカルはどうしたものかと戸惑っている様子じゃ。



「…エクソシストってなんなんだろうな。悪魔を退治するってすげぇ良い事で当たり前だと思ってたけどよ…」

「あんな姿にするのがエクソシストの仕事って言うなら俺…」

「悠凪ちゃん、なにも悪いことしてないC…」

「しかし!彼女は吸血鬼ですよ!?始末しなければっ…」

「柳生…悠凪がいなかったら赤也は死んでたかもしれないだぜ?」

「そ、それは彼女が切原くんを巻き込んだだけでしょう!切原くんに非はないです」

「赤也は1/4とは言え、吸血鬼じゃ」



その言葉に遂に柳生は黙ってしまう。

柳生は真面目じゃけん、色々と混乱しとるんじゃろうが…あの姿の悠凪を見ても始末しなければと思える辺り、さすがとしか言えん。


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