初めてだらけの世界に (1/4)
悠凪は、迷っていた。
目の前にいる悪魔達からこの人間達を助けるかを。
目の前の悪魔は、間違いなく跡部を殺そうとしている。それを止めるには、悪魔を殺すか、悪魔について行くか。
その2択しかない。
しかし、悠凪からしたら悪魔は自分の仲間であり殺したくはない存在だ。けれど、悪魔について行くと言ったらエクソシストである跡部が黙っているはずもない。
悠凪は、久し振りに頭を使って考えていた。
「あたしが…いけば、かえる?」
「えぇ、私共は姫様を連れて来いと言われただけなので。エクソシストになど興味はありません」
「おい、クレフィス・ユウナート!バカな事考えるんじゃねぇぞ、お前がこれで行ったら幸村や仁王がどうなるかわかってんのか!」
「…精市と…雅治?」
悪魔に付いていこうと思った瞬間に跡部から言われた言葉。
幸村や仁王がどうなるか?悠凪には、わからなかった。でも跡部の必死な顔を見る限り、幸村や仁王になにか良くない事が起こるのだろうとは感じた。
しかしならどうすればいいんだ。とまた悠凪は、固まってしまう。思考が安定しない悠凪には、どうしていいのかわからなかった。
「テメェは、引っ込んでろ!後は、俺様達エクソシストがやる!」
「でも…でも、あたし…」
「全く五月蝿いエクソシストですねぇ…。殺して黙らせてもいいんですよ?」
「あーん?悪魔風情が殺れるもんならやってみろよ」
「…いいでしょう。少し名のあるエクソシストだかなんだか知りませんが余り自分を過信すると後悔しますよ…」
上級悪魔の中でもリーダー格の一人を挑発した跡部は、すぐに構えると悠凪の前に出る。
そして悪魔と交戦する跡部を目の前に悠凪は、どうしたらいいのかわからずに立ち尽くしていた。
しかし微かに聞こえた自分を呼ぶ声に悠凪は、我に返った。
そしてゆっくりと振り向くと悪魔と対峙しながら幸村を守っている仁王の姿が目に入ったのだ。
悠凪の名を呼ぶ仁王を五月蝿いと言わんばかりに攻撃する悪魔。芥川と樺地が仁王と幸村を助ける様にフォローに入っているがそんなの無視と言わんばかりに仁王と幸村を狙っている。
そして微かなに聞こえた悪魔のくせにと言う言葉にピクリと悠凪の体が動いた。
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