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(4/4)


一瞬なにを言われてるのかわからなかった。

…人間になりたいなら?
血を吸わせて?

悠凪先輩は、そんな事が出来るんだろうか。いや、よく考えろ!切原赤也!

悠凪先輩は、吸血鬼と悪魔なんだぞ。もしかしたら、そんな事が出来るぐらい凄いのかもしれない。



「…もし人間になったらもう血に飢えなくて済むんスか?」

「うん?血欲しくならないよ」

「そ、それホントッスか?!」

「うん?やる?」



ずっと辛かった。

興奮すると目が充血するのも、人の血を見るのも好きで人を傷付けてたのも…全部が吸血鬼の血が混じってるせい。

中学の時が一番辛かった。
毎日、毎日血が見たくて酷い時は、自分の腕に噛み付いたりもした。

それを見兼ねて両親が…俺に吸血鬼の血が混じってる説明してくれた。割合としては半分以下らしいけど俺だけ特殊だったらしい。

それから毎日、薬を飲むようになった。そして薬を飲むようになってから血を見たくなったりとかは無くなった。

でも副作用で凄い喉が渇いた。どんなに水分を摂っても潤うことがない渇き…それが辛かった。

それがなくなるなら…でも、



「悠凪先輩はどうなるんスか?」

「うん?ひとりになるよ?」

「え、ひとりって?」

「赤也と一緒じゃなくなるよ」

「…吸血鬼って他にいないんスか?」

「うん?さみしいね?でも赤也人間なりたいならやろ?」



首だして?と頭を傾げる悠凪先輩は、いつもの無表情だった。

今日の昼休みの時、悠凪先輩は嬉しそうにないしょと言っていた。

黙ってれば気付かなかったのに、血を舐めさせて俺にわざわざ吸血鬼である事を教えて来た。

なんでそんな事をしたんだ?

ゆっくりと顔を上げると悲しそうに笑う悠凪先輩が優しく頬を撫でる。

"ひとりになるよ?"
"一緒じゃなくなる"
"さみしいね?"

あぁ…悠凪先輩は、俺が吸血鬼だったのが嬉しかったから…だからわざわざ仲間だよ、一緒だよって教えてくれたのかな。



「うん?赤也?」

「…悠凪先輩と一緒でいい。俺…このまんまでいいッス」

「うん?なんで?」

「…先輩ひとりになっちゃうんスよね?だったら一緒に吸血鬼でいるッス!」

「…………」



悠凪先輩が珍しく驚いた顔をする。そして優しくニコリと笑うとそのまま抱き付いて来て、色々と焦る。

喉が渇くのは、辛いけど…今まで我慢出来たし。なにより、悠凪先輩と一緒ならとか思っちゃった俺は、ホントにバカだなって思った。






(赤也?ありがとう)
(な、なんでッスか?!)
(ひとりにしないでくれて)
(へへっ…いいッスよ!)
(赤也?のど渇く?)
(今は、大丈夫ッスよ!)
(うん?ごめんね?)
(謝るんは、なしッスよ!)
(赤也?)
(なんスか?)
(あたしといっしょ)
(はい、一緒ッスよ!)

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