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あぁ、なんでこうなるんじゃ。
信用はしてない。
こやつの話を信じた訳でもなか。
それでも嘘だと思えんのは、何故じゃ。それに昨日のあの顔は、なんだったんじゃ。
「あたし死ぬ?」
「知らん」
「キミは、死なない?」
「死なん」
「ならいいかな?」
眩しいからと日陰に座り込み相変わらずわけのわからない事を言っている紅に適当に返事をしながら待った。
そして暫くして屋上のドアが開くと不機嫌そうな笑みを浮かべてこちらに向かって来る。
「ふふっ…授業をサボらせて俺を呼び出すなんていい度胸だね?仁王」
「それは、すまん」
「エクソシスト?じゃない?」
「へぇ…君が噂の混血種の悪魔か。確かに、魔隠もしてないし隠す気ないね」
自殺願望者?とニコリと笑う幸村になにが?と頭を傾げると幸村は、目を見開いて笑いだした。
いや、笑い事じゃないんじゃが。
これは、相当だね。なんて言いながら退魔の札を紅に投げ付けると咄嗟に俺の腕を引いて立たせた。
「……っ!!い、っ…」
「…ふーん。本当に抵抗しないんだ。つまらないなぁ…」
「…っ………?」
「まぁ、俺じゃ君を殺せないから安心していいよ?あ、喋れないんだったね」
退魔の札のせいで身動きが取れず、声も出ないのをさも今思い出したとでも言うかのように優しく笑うと退魔の札を取った。
幸村がエクソシストならこやつ、昨日死んでたな。
大丈夫かい?なんて言いながら何事もなかったかの様に話し掛ける幸村が怖いぜよ。
「……キミも、みんなと同じ?」
「これ、幸村やめんしゃい」
「ふふっ…いや、一応敵意がないのを確認しないと。俺は、お前と違ってすぐ死ぬし」
「また、火の中に入れるの?」
「そんな事しないよ。さっきは悪かったね。俺は、幸村精市だよ」
「…そう。しくよろ?」
まさかの発言に幸村がまた笑い出す。ブンちゃんの真似なのはわかるんじゃが…こやつ変な事しか覚えてないんじゃなかろうか。
少しだけ幸村を警戒している様子だったが笑っている幸村に頭を傾げていた。
かと思ったらバッといきなり立ち上がり、幸村が札を構える。
「ねぇ?…ブン太が危ない」
「はっ?」
「見られてる」
「お、おいっ!」
なにがなんだかわからずの俺と幸村は、とりあえず屋上から飛び出して行った紅を追い掛けた。
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