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悠凪先輩には劣るけど…上級悪魔3体を相手に出来る自分の力に驚きつつも、これで先輩達を助けられると思った。

いっつも、俺は先輩達の背中に守られてて…やっと恩返しが出来たかなとか思ったり。

幸村部長や仁王先輩は、特に俺を心配してくれてたし。2人は絶対に俺が守る。

それに悠凪先輩との約束でもあるから。



「き、貴様っ!姫様の…血をっ!!」

「…………」

「姫様の血はあのお方のもの!貴様の様なっ…」

「悠凪先輩は、誰のもんでもねぇよ」

「…人間風情がっ…!!」

「…今は、吸血鬼だっつの」



どうやら、こいつ等は俺が悠凪先輩の血を貰った事に腹を立ててるらしい。

正直、理由は知らねぇし興味もねぇ。ただ俺は、先輩を守るだけだ。

ルシファーと対峙してる悠凪先輩がすげぇ神々しく見える。やっぱり、俺が吸血鬼になったからなのかな。

そんな事を思いつつゆっくりと俺に突撃してくる悪魔の攻撃を避けて、そのまま覚えた記憶のない呪文を唱えて目の前の悪魔を殺した。

罪悪感とかそういったものは、湧かなくて…ただ案外脆いなとか思ってた。


そんな時だった嗅ぎ慣れた匂いが近付いて来てる事に気付いた。前の俺なら気付かなかっただろうけど…今の俺にはわかる。

…なんでここに向かって来てるのかはわからないけど、マズイ。ゆっくりと悠凪先輩を見上げると大丈夫だから…2人を守っててと言わんばかりに優しく笑った。


…なら、俺は幸村部長と仁王先輩の傍にいる。


そして近付いて来る気配に不安になりつつも俺に攻撃をしてくるエクソシストと悪魔を淡々と捌いているとザワリとした感覚がして、見知った人達が現れた。


その瞬間、ルシファーがなんの動作もなしに魔術を発動させたのがわかって咄嗟に体が動いた。

防げる自信はなかったけど…多分、死なないから大丈夫だと思った。

だけど、痛みはなくて…激しい破裂音と爆風に思わず目を瞑ってしまう。



「………あかや、だめだよ」

「悠凪…せんぱいっ…!」

「っ…、大丈夫。ルシファー、なんで?」

「これ以上、邪魔者は要らない。さっきも言った通りだ。悠凪が来ればこんな奴等どうでもいい」

「…ルシファー、きらい。あたし、みんなを守るから…ルシファーとは一緒に行かない」

「…ふふ、そう。いいよ?俺が全員殺すから。そしたらもう守る必要はなくなるよね?」



ルシファーの攻撃を防いだのは悠凪先輩で防御が間に合わなかったのか悠凪先輩の体から血が滴る。きっとあの場所から移動するのでギリギリだったんだと思う。

そして悠凪先輩がゆっくりと振り返ると俺の脳内に言葉を残してルシファーに向かって飛んで行った。

"赤也はみんなと一緒に逃げて"





(なっ…あ、赤也?お前っ…)
(……………)
(幸村と仁王も無事かっ…)
(っ、見るも無惨な光景だな…)
(赤也…お前のその姿は…)
(逃げて下さい)
(は?またそれかよぃ!)
(悠凪先輩は俺等がいる限り戦い続ける)
(っ、ならば俺等だって!)
(次元が違うってわからないんスか!)
(…それでも俺等は仲間だ)
(俺はもう…先輩達とは違うッス)

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