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いつもの赤也の赤目じゃない…悠凪と同じ真っ赤な瞳の赤也は、すまなそうに笑うと俺と仁王に向かってふわりと腕を振った。

その瞬間、俺と仁王は薄い膜の球体に包まれた。



「…悠凪せんぱい、これで大丈夫ッスよね?」

「ん、大丈夫。赤也も入ってていいよ?」

「…俺、あいつに借りがあるんで。あと、悠凪せんぱいをひとりにはしないッス」

「…そう?赤也、ありがと」

「ワガママ言ったの俺ッスから…最後まで一緒にいます」



赤也のその言葉に悠凪が悲しそうに笑うとググッと悠凪が身を屈ませたかと思ったら、悠凪の羽が6本になった。

それを見た赤也をゆっくりと悠凪に近付くと膝をついて、ニコリと笑った。

…あぁ、そうか。
赤也は悠凪の…

全てを理解した俺は、自分の無力さに拳を握った。



「…あやつは、人間を捨てたんか」

「多分…ね。きっと…赤也が悠凪に頼んだんだとは思うけど…」

「悠凪は、赤也をただの人間に戻せるって言っとったし…逆も出来て当たり前か」

「さっき馴染んで来たって言ってたから…多分、羽が生えるまではまだ人間…だったんだろうね」

「…悠凪の血で完全に吸血鬼になったってところか」



目の前では、相変わらずエクソシストと悪魔が戦っててその間を縫う様に赤也が先程、悠凪に吹き飛ばされた悪魔…つまり俺が対峙していた悪魔と戦っている。

赤也は、3体の上級悪魔を相手にしているのにも関わらず余裕そうに宙を舞っていて…俺等の知ってる赤也じゃなかった。

そして悠凪は、ルシファーとエクソシストの最高位の間に入ってなにかをしている。

そんな悠凪にエクソシストが攻撃をしているが、全て羽で弾き返している悠凪はまるで踊っている様だった。



*****


…すげぇ、体が軽い。

俺は、空間魔術を教えて貰った時に悠凪先輩に吸血鬼になりたいと頼んだ。

最初は、悠凪先輩はずっとダメって言ってたんだけど…みんなを守りたいと必死に頼んだ結果、一時的に純血の吸血鬼に近い力を発揮出来る技を教えて貰った。

だけど、人間部分の肉体が拒絶反応を起こす可能性もあって本当にもしもの時に使うというのと、その時に自分の血を吸わないという約束をした。

その約束を俺は、破って…自分の腕に噛み付いて血を吸った。正直、頭が気持ち悪くて…もの凄く後悔した。

必死に対抗したが、血が体に馴染むのが遅くて結局負けた。

んで、次に目覚ましたら腹に腕刺さってるし。死ぬほど痛いのに死ねない理由がなんとなくわかって…少しだけ怖くなったけど、遠退いてく意識のなか悠凪先輩の気配がして自然と安心した。

そして俺の腹を治してくれた悠凪先輩は、全てを理解したらしく俺を受け入れてくれた。だから、素直に血を貰った。やっぱり自分の血と違ってすんなり馴染んでいくのがわかって、不思議な感覚がした。

…驚いてる幸村部長と仁王先輩には悪いけど…俺は人間を捨てて悠凪先輩の血で吸血鬼にしてもらった。

完全に吸血鬼になった俺の体からは羽が生えて、体がふわふわした。


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