全てが赤く染まる (1/4)


仁王と共にエクソシストの研究所へと空間魔術で移動して来たのは、いいんだけど…

そこは既に研究所といえるものじゃなくなってた。

周りは、瓦礫まみれで血に染まっていた。



「…悠凪は、どこ?」

「さぁな、貴様に教えるつもりはない」

「また俺から悠凪を奪うって言うの?ふーん…別にいいよ、お前殺して探すから」

「貴様があのルシファーとはいえ、そう簡単に殺れると思うなよ」



エクソシストの最高位とルシファーが空中で対峙しているのはわかる。そしてルシファー直属の上級悪魔を数で圧倒しているエクソシスト達。

…姿は見えないが悠凪を巡って、エクソシストと悪魔が戦っているのだ。

イライラした様子のルシファーが蟻を殺すかのように足元で攻撃をしていたエクソシストを一瞬で消し去り、更に対峙しているエクソシストに向かって攻撃を仕掛けた。


さっきみたいにとばっちりが飛んで来そうだが…今は、未だに囚われたままの赤也を助けに向かう。

仁王に目で合図を送り、赤也を抱えている悪魔の元に向かう。



「…赤也を返して貰うよ」

「おや、キミ達は…さっきエクソシストといた死神と裏切り者ですか」

「裏切り者とは心外ナリ…俺は、別にエクソシスト側じゃない。いいから、そいつを離すぜよ」

「…低級な上に半分人間のクセに生意気ですね。死にたいんですか?」

「仁王は、後方から援護して…俺がなんとかする」

「何を言い出すかと思えば…死神風情が我々、悪魔に勝てる訳ないでしょう。目障りです、死んで下さい」



赤也を抱えたままの悪魔と他2体の悪魔が俺と仁王に狙いを定めると一斉に襲い掛かって来る。

印を結びながらギリギリで攻撃を避けて、こちらからも攻撃を仕掛けるが…俺は死神だ。

エクソシストと違い悪魔を滅する力もなければ、悪魔と違って殺す力もない。

足止め程度にしかならない俺の攻撃を嘲笑うかのように悪魔達が容赦なく攻撃が仕掛けてくる。



「…っ幸村!下がりんしゃい!」

「大丈夫…確かに俺に悪魔は殺せないけど、俺も死なないから…仁王はチャンスがあったら一気に仕留めて」

「なるほど…我々からしたら赤子同然の歳で貴方は死神の最高位なんですね。やはり、死神の相手はとても面倒です」

「…お前達、悪魔の事は全て記憶しているからね。そう簡単に殺られる訳ないだろ」

「ならば、これならどうです?」

「…っ!赤也っ!やめっ…」

「…っぐあああああっ!う、あっ…」

「ほぼ人間のこの子は、キミとは違いすぐに死にます。それにしても吸血鬼の端くれにも関わらず、再生能力も全くないみたいですし…役立たずですね」



どうやら、俺の相手をするのが面倒になったらしく悪魔がニコリと笑った。

その瞬間、抱えていた赤也の頭を掴むとそのまま別の腕が赤也の腹部を貫いた。

腹部を貫かれた痛みで赤也が目を覚ました様だが…それどころじゃない。

…赤也が死ぬ。

ただそれだけが頭を支配し、悪魔に突っ込む様に地を蹴って赤也に手を伸ばすがもう要らないと言わんばかりに目の前で腕を振り払い悪魔の腕が赤也から振り抜かれそのまま赤也は地面に叩き付けられた。


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