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前向きに進む (1/3)


璃亜に少し話があるとバスケコートに戻っていった幸村。

やっぱり気になるもんは、気になる。あからさまに来るなという顔をされたが璃亜も気になるしの。

しかし、来たはいいが今更来た事を後悔しちょる。最初は、本当に話してるだけだった。

それが今じゃ冷静な幸村に取り乱した様子の璃亜。会話を聞く限りかなり険悪だ。

しかし幸村は、口を開くのをやめない。言い返せない璃亜は、うつ向いてしまう。



「自分の病気を理解してない奴が自分の事は、自分がよく知ってるなんてよく言えたね。羽川の苦労が目に浮かぶよ」

「………あんたにっ…」

「…幸村、言い過ぎじゃ」



うつ向いていた璃亜がバッと顔を上げると溢れる涙。怒りなのか悲しみなのかわからないが幸村を睨み付ける璃亜。

その間に割って入る。

幸村は、酷く冷めた目をして璃亜を一目するとゆっくり俺の肩に手を置くと

"もっと早く出て来なよ。まぁ…後は、頼んだよ。"

と俺にだけに聞こえる声で言うと去って行った。



「大丈夫か?」

「……………」



うつ向いたままポタポタとコートに涙を落とす璃亜になんて声を掛ければいいんかわからん。

幸村も酷い奴ぜよ。

俺がいるのを知っててあの会話をわざと聞かせたんじゃからな。



「とりあえず、中行くか?」

「……………」

「お前さん寒いのダメじゃろ」

「……放っておいてよ」

「そうは、いかんぜよ」



相変わらずうつ向いたままの璃亜の頭に手を置くと凄い勢いで手を払い退けられる。

そしてバッと顔を上げた璃亜は、ポロポロと涙を流しながら俺を睨んだ。

こうして泣いてるところをまともに見たんは、初めてかの。泣きそうな顔は、よく見てきたが。



「あんた達なんか嫌いっ…」

「…知っとるよ」

「…わかってるよ!あたしの勝手な八つ当たりだって!ただの妬みだって…!」

「…おん」

「もう…わっかんないよぅ…!」



もうやだ。と呟きながらペタリと座り込む璃亜に俺もゆっくりと座る。

幸村も随分と荒治療じゃな。

それに羽川と参謀にもなんかハメられた気がするの。



まぁ、幸村の考えてる事は、なんなくわかった。このまま璃亜が立海に帰ったら色々と不味いと思ったんじゃろ。

璃亜にとっても立海のメンバーにとっても。

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