綺麗な音色と星空 (1/4)
ん〜どうしようかなぁ。
明日は、合宿始まって初の休日である!ちなみに色んな人に明日の予定を聞かれたり一緒にどっか行こうと言われているが、とりあえず考えとく〜と軽く流している。
もう逆にゆっくり寝て過ごすのもいいかなぁ。いや、でも体調も別に悪くないのに寝て過ごすのは勿体無い気がするし…うーん。
そんな事を考えながら、日課になりつつある管理棟にいるコーチ達に報告を終えて寮に帰っていると不意にピアノの音が聞こえて脚を止める。
この合宿場にピアノなんてあったっけ?まぁ、あたしがまともに施設を把握してないだけかもしれないけど。
なんとなく音がする方へ向かうとそこは先日あたし達が勉強をした学舎っぽい場所に着いた。
あぁ、確か…音楽室もあるとかないとか言ってた気がするなぁ。ていうか、もはや小さい学校だよね。
とりあえず中に入るが、いまいち中の構造がわからないので聞こえてくるピアノの音を頼りに歩いた。
そして音楽室らしき部屋の前に着いてノックをしようか迷っていると1曲弾き終わったらしくピタリとピアノの音が止み、意を決してドアをノックした。
「おや、誰かな?どうぞ」
「ここに来るヤツは限られてるからな。君島じゃないのか?」
「あの、ど、どうも…」
「えっ…璃亜さん!ど、どうしてここに?」
「今日は、随分珍しい人がよく来るね。また迷ったの?」
「え、いや…ピアノの音が聞こえて、誰が弾いてるのかなぁ〜みないな感じで来ちゃいました」
「遠野と同じヤツがいたな」
「あぁ?」
そして部屋にいたのは、まさかのちょたくんとコーチ枠の面々でした。なんだこの集まり、なんか怖いんだけど。
ていうか、ピアノの前に座ってるのがちょたくんって事は、さっき弾いてたのはちょたくんだったのか。
とりあえず、どうしようかと立ち尽くしているとちょたくんが小走りであたしのところに来るとなにやら事情を説明してくれた。
どうやら、前の合宿の時からちょたくんはたまにこうしてピアノを弾きに来る事があったらしく、その時から入江さんや鬼さん達に聴かせてたとかなんとか…。
「よ、よかったら聴いていきますか?リクエストとかあれば弾きますし…」
「え、いいの?」
「ちなみにさっきのは僕のリクエストだったショパンの別れの曲ね。表現が難しい曲なのにさすが鳳くん、凄くよかったよ」
「あ、ありがとうございます。璃亜さんなにかありますか?」
「え、じゃあ…月光って曲。あたし、そこまで詳しくないんだけど…この曲は好きなんだよね」
「ほう…以外だな。てっきり猫踏んじゃったとか言い出すと思ってたが」
「ぶはっ!そりゃあいい」
鬼さんは、あたしをなんだと思ってるんだ。さすがのあたしでもあんな綺麗な演奏をしていた人に猫踏んじゃった弾いて下さいとは言わないよ。
いや、凄い華麗に猫踏んじゃったを弾くちょたくんもちょっと見てみたい気もするけど。
そしてこの髪の毛サラサラの人は、さっきからなにをしてるんだ。凄いリラックスしてるけど、クラシックとかに無縁そうだぞ。
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