×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

優し過ぎる故に (1/4)


急いで水道に向かうとジャッカルくんに女の子が迫るように腕を掴んでいて、あの子がジャッカルくんが言っていた女の子だとわかり自然と走る速度が上がる。

そしてジリジリとジャッカルくんとの距離を詰めるその女との間にバッと入り込みベシッとジャッカルくんを掴んでいた女の子の腕を叩き払う。



「ちょっとなにしてんの」

「楠木っ…!」

「あ、あなたっ…!やっぱり…やっぱり…あなたが!桑原くんは私のものよ!!邪魔しないでっ…!」

「…はぁ?」

「桑原くんは私にだけ優しいの…勘違いしないでちょうだい!!」



お、おぉ…なんだこいつ。
あたしが思っていた以上にクレイジーなんだけど。バッとまたジャッカルくんに手を伸ばす女にすかさず手を払い払う。

ジャッカルくんが大丈夫だからとあたしの肩を掴むのがわかったけど、その腕にはくっきりと爪の痕が残っていて目の前の女を睨む。

こ、こいつ…なんて事してんだ。



「な、なによ!邪魔するんじゃなっ…」

「邪魔するな邪魔するなって…邪魔してんのお前だから。部活中になにしてる訳?テニスプレイヤーの大切な腕になに傷付けてんの?バカなの?死ぬの?」

「なっ…」

「ジャッカルくんを好きなのは勝手だけどその気持ちを人の優しさに漬け込んで押し付けんな。ましてや、真剣にその人が取り組んでる事の邪魔して怪我までさせてなにが好きだ。ふざけてんのか」

「あなたにっ…桑原くんのなにがわかるのよ!私の方が桑原くんの事を知っているのよっ!!」

「あぁ?少なくともお前よりはジャッカルくんの事わかってるつもりだわ。お前がジャッカルくんのなにを知ってるのか知らないけど、こんな事してる時点でたかが知れてるっての」



あたしが思った事を言い切ると目の前の女がキッとあたしを睨み付けると腕を振り上げた。そしてフルスイング。

それを華麗に受け止め、腕を掴んだままジリジリと女に寄っていくと段々と女の顔色が青くなっていく。

多分、今のあたし怖い顔してるんだろうなぁ〜なんて思いつつあたしより小さいその女を見下していた。



「やめろ、楠木。端から見たらお前がいじめている様にしか見えんぞ」

「おい、ジャッカル!!だ、大丈夫かよ!?その腕…」

「ブン太…あ、あぁ…大丈夫だ、大した事ない」

「あれ、なんでみんないるの?」

「…あんたが急に走って行ったからでしょ」



不意に声を掛けられてパッと女の腕を離して振り向けば、そこにまさかのレギュラーメンバーと早苗が勢揃いしてた。

おい、部活はどうした。

そしてサラッと柳くんあたしに酷い事言ったよね?誰がいじめてるだと、このやろう。むしろ、あたしはジャッカルくんを守る正義の味方ポジだぞ。


prev|next

[戻る]