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不思議な距離感 (1/4)


お互いに髪の毛を乾かし合うという、よくわからない事をしつつ雨が止むのを待っていたが、止むどころか強くなる一方である。

これは、終電も危うい気がする。むしろ、普通にこの激しい雨の中送り出すのは気が引ける。



「わかちゃん、明日部活は?」

「明日はオフですよ」

「あ、マジで?」

「それがどうしたんです?」

「ん〜、今日泊まってく?」

「………はい?」

「いや、終電ギリギリまで待っても止まなそうだし。それに傘貸しても、この雨じゃあ濡れちゃうだろうしさ?明日、予定ないなら泊まっていく?」



ちなみにあたしは、明日も普通に部活の予定だが…この雨が終電の時間まで続くとなると明日の部活は休みになりそうだ。

さっきから赤也が明日の部活大丈夫ッスかね〜?とかLINEで騒いでるし。

もちろん、わかちゃんが嫌ならしょうがないんだけど。とりあえず、どうする?とわかちゃんに頭を傾げると一瞬、目を見開くとなにかを考えるようにうつ向いた。



「いや、嫌ならいいんだよ?ただ、この雨だと心配だし。またびしょ濡れになっちゃうし…風邪引いたりしたら嫌だなぁって」



電車内は、ある程度暖かいかもしれないけどびしょ濡れの状態でいたら普通に風邪引くだろうし。



「…じゃあ璃亜さんが大丈夫なら、泊まらせて下さい」

「お、おう!あたしは、全然構わないよ!むしろ、泊まってくれた方が有り難い!!」

「でも璃亜さんは、明日部活ですよね?」

「うん。でもこのまま雨だと休みになりそうだけどね。まぁ、そろそろ連絡来ると思うけど」

「そうですか」



なんかよくわからないけど、わかちゃんが少しだけ嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。いや、泊まるのに嫌そうな顔をされるよりは全然いいけど。

とりあえず、少し遅いけど夕飯を作ろう。

あ、もし部活がないなら仁王に明日の朝御飯どうするか聞かなきゃなぁ。まぁ、寝るから要らないって言われるだろうけどな。あいつ、朝御飯<睡眠だし。



「わかちゃん、なに食べたい?」

「俺は、なんでもいいですよ。それと夕飯作るなら手伝います」

「わかちゃんは座ってなさーい!」

「嫌です」

「ま、まさかの拒否!!!」

「璃亜さんに無理させたくないんで。本当に体調は大丈夫なんですか?」

「お、おぉ…だ、大丈夫だっ…え?」

「まだ手冷たいんでダメです。俺が作ります」



そう言いながらゆっくりとあたしの手に触れたわかちゃんは、少しだけ笑うとそのまま立ち上がり、キッチンに向かって行った。

あ、あれ?なんかわかちゃんがカッコいいぞ。なんかきゅんってしたぞ。

あたし熱でもあるのか?とかバカな事を考えつつ、すぐにわかちゃんの後を追ってキッチンに向かった。


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