全国大会3日目:後半 (1/4)
ずっとうつ向いたまま白石くんの手に引かれていたあたしは、白石くんの着いたでと言う声にゆっくりと顔を上げた。
しかしその瞬間、凄い衝撃があたしを襲い思わず目を瞑ってしまう。
そして暫くして抱き付かれてるんだと気付いた。
「…あか、や…」
「…すんませんっ!俺がっ…俺のせいッス…俺、どうしても勝ちたくて…」
「…ごめっ…ごめんね」
「なっ…!な、なんで璃亜先輩が謝るんスか!」
「……っ…」
「切原くん、俺の口からで堪忍な。璃亜ちゃんな、切原くんが悪魔化したん自分のせいやと思っとるんよ」
「…なっ!ち、違うッス…!俺が勝手に負けるって…焦って…」
あぁ、もう…赤也が目を覚ましてる事とか赤也の後ろでやれやれと言わんばかりにあたしを見てるみんなに前が見えない。
いっぱい謝りたくて、いっぱい言いたい事があるのに…赤也が泣かないで下さいよってあたしの背中を撫でてる度に涙が溢れてくる。
しかも、よく見たら仁王と柳生は、試合が終わったばっかりなのか汗を掻いてるし。
…試合、終わっちゃったんだ。
「ふぅ、探しに行く手間が省けたのぅ」
「ったく、急にいなくなるなよぃ。バーカ」
「ふふ、でも試合中にいなくなるのはいただけないなぁ」
「逃げ出すなど、たるんどる!!」
「ちょ、先輩達は鬼ッスか!」
「うむ。しかし元を辿れば赤也…お前が自分を抑えられなかったのが原因だぞ」
そして赤也があたしから離れて庇う様に前に立つが、柳くんの言葉にシュンッと肩を落とす。
でもあたしも好き勝手言っちゃったし、赤也だけが悪い訳じゃない。と言うか、試合の途中で逃げ出したのは完全にあたしが悪いし。
赤也は、関係ない。
グッと涙を拭って赤也を通り過ぎて、みんなの前に行き頭を下げた。
「…ごめん。試合中なのに勝手にいなくなって。…真田くん!鉄拳制裁お願いします!!」
「「「はっ!?」」」
「ふふ、真田?」
「むっ…し、しかしだな…」
「な、なら俺がっ!俺、試合にも負けたし…!璃亜先輩は、悪くないッス!」
「赤也は、あるに決まっているだろう。問題は、楠木の方だが…」
あからさまに困った顔をしてる真田くんにお願いと頭を下げるがなかなか頷いてくれない。
そして仁王とブン太は、笑い過ぎである。なんで腹抱えて笑ってるんだ。あたしは、真剣だぞ。
…もういいや。
あたしの自己満でもあるし。
ゆっくりと下げていた頭を上げて、バレない様に拳を握り自分でもビックリの速さで自分の頬を殴りました。
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