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恐怖の温度差 (1/4)


うぅ〜んっ…ねもい。

最近は、朝から部活→部活終了→スタジオって流れなので正直疲れてます。

いや、別に好きでやってる事だからいいんだけどね。それにスタジオ練習は、強制じゃないしね。



「〜〜♪〜♪〜〜♪〜♪」

「…最近、よく鼻唄歌っとるのぅ」

「ん?まぁ、音覚えたいからね。て、なんでいんの?今、走り込みじゃなかった?」

「…抜け出して来たナリ」

「幸村くんと真田パパにチクるぞ」

「ん〜…暑くてバテ気味なんじゃよ。幸村からは許可貰ったナリ」



鼻唄を歌いながら走り込みに行っているみんなの為に冷タオルを準備してると仁王が戻って来た。

汗を拭いながらゆっくりと座り込む仁王をチラリと見れば、確かに顔色は余りよくない。

それにしても本当に暑いの苦手だな。まぁ、最近の暑さにはあたしもうんざりしてるけど。



「…仁王、ちょっとこっち来て」

「ん…なんじゃ?」

「はい、冷タオルの準備終わったから…横になって首冷やしときなよ。ドリンクは持って来てあげるから」

「…ん〜」



あ、これ本格的にヤバいヤツだ。ゆっくりと日陰に入り天仰ぐ仁王の顔に冷タオルを乗っけて、部室で冷やしてるドリンクを持って来る。

しかし、部室から戻って来ると首を冷やすどころか顔に冷タオル乗っけたままである。

…ダメだ、こいつ。

ゆっくりと座り込んでいる仁王に近付いて、冷タオルを顔から取ると珍しく険しい顔をしてる仁王と目が合う。



「ちょっと…体調悪いの?マジで大丈夫?」

「ん〜…璃亜、ドリンク」

「え、あっ…はい。ゆっくり飲みなよ」

「…んっ…ダメじゃ」

「う、うわっ…ちょ、大丈夫!?てか、あっつ!え?もしかして、熱あるの!?」

「…………?」



あぁ、本格的にダメだこれ。
熱のせいなのか仁王は、ボーッとした顔をしてあたしを見上げている。微かに潤んでいる瞳が熱が高いのを物語っている。

とりあえず、みんなの走り込みにチャリで付いてってる早苗に連絡するしかないか。

ぐったりとあたしに寄り掛かる仁王の首に冷タオルを当てながら、早苗に電話をする。



「"璃亜、どうかしたの?それと、仁王くんはもう戻って来た?"」

「その仁王が高熱出してるから、あたしちょっと職員室行って病院連れてって貰う」

「"え?それ大丈夫なの?"」

「ん〜どっちかと言うと、大丈夫じゃなさそう。とりあえず、冷タオルとドリンクは部室に入れとくから後はお願いね」

「"それはいいけど…本当に大丈夫?もしなら私も戻るわよ?"」

「この暑さだし…他の部員も倒れたりしたら困るから早苗は残ってて。またなんかあったら連絡するから」



そして早苗との通話を切って、相変わらずぐったりとしたままあたしに寄り掛かる仁王を見つめる。

…は、運べるかなぁ。


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