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宣戦布告合戦! (1/4)


あ、あれ?な、なんだろう。

ジッとあたしを見つめるわかちゃんから目が離せない。

で、でも熱はないみたいだし…ゆっくりとオデコから手を離すと同時に腕を掴まれてビクリと肩が跳ねる。



「わ、わかちゃん?」

「…ご褒美くれるんですよね?」

「え、あっ…うん。して欲しい事、決まったの?」

「本当になんでもいいんですか?」

「…?ん?あたしに出来る事ならなんでもするけど。さすがに金くれとかは無理だよ?」


*****


ジーっと俺を見上げながら頭を傾げるこの人は、本当にバカなんじゃないかと思う。

真っ白なドレスに身を包んだ姿は、正直あの暴れん坊の璃亜さんとは思えないくらい綺麗だ。

しかも、号泣したせいでうっすらと赤い目がまたなんとも言えない。



「えーと、わかちゃん?本当に大丈夫?」

「別に具合は、悪くないんで大丈夫です」

「…?ならいいけど」

「と言うか、俺の心配する前に自分の心配をしたらどうです?」

「え?なんで?」



…本当にバカだ。
あの芥川さんの行動にも危機感を感じてないのか。まぁ…この人の事だ、また芥川さんが寝惚けてたとでも思ってそうだな。

それにさっきから部屋の中から無数の突き刺さる様な視線を感じる。

空気の読めない数名が乗り込んで来ると思っていたが…どうやら様子見をしてるらしい。

フンッ…なら、好都合だ。



「目は、痛くないんですか?」

「え?あぁ…大丈夫だっ…よ?」

「でも赤いですよ」

「わ、わかちゃん…!か、顔近い!なんなのっ…みんなして!あたしをからかってるんか!」

「確かに、いつもはからかってます。でも今は、からかってませんよ」

「なっ…わ、わかちゃんっ…」



軽く頬に触れるといつもの騒がしい璃亜さんが顔を赤くして、わたわたとしながら目を泳がせる。

本当にこの人は、なにもわかってないんだな。自分が今どんな顔をしているのかとか。

それに…そんなに恥ずかしいなら逃げ出せばいいのに、逃げる事もしない…


「本当にバカですね」

「わ、わかちゃっ…!な、なななにっ!?」

「璃亜さんは、無防備過ぎなんですよ」

「み、耳っ…!耳元禁止っ!」


そのまま璃亜さんを抱き寄せると、腕の中で更にわたわたと慌て出す。

身長差で俺の口がちょうど璃亜さんの耳元辺りだったらしく、カァッと璃亜さんの体温が上がったのがわかる。



「なら上向いてくれます?」

「な、なに?てか、わかちゃん…やっぱり熱あるんじゃないの!?」

「なら、計って下さいよ。今度は、璃亜さんのオデコで」

「わ、わかちゃん…やっぱり変だっ…!」

「フッ、なんとでも言って下さいよ。ほら、計ってみて下さいよ」

「…………っ!」



顔を上げた璃亜さんは、真っ赤な顔で俺を見上げる。本当にズルい人だ。

そして変だなんて言いつつも、意を決した様に目を瞑ってオデコを当ててくるこの人は、バカで可愛い。



「なんで目開けてないんですか?」

「えっ…なっ…わ、わぁぁ!!」

「逃がしませんよ」

「や、やだっ!わかちゃんっ…死ぬっ…か、顔がファイヤーするっ!」

「言動は相変わらず、アホ丸出しですね」

「アホでいいからっ…やっ、な、なんで…笑ってるのっ!?」



あぁ、本当にこの人は…俺が今まで我慢して来たものを全部無駄にして。

芥川さん、すいません。

やっぱり俺もこの人だけは、譲りたくないみたいです。


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