この少女素直につき (1/5)
正直、いつかこうなるだろうなぁ…と思っていた。むしろ、あの日切原くんに手を引かれて、その前には銀髪と赤髪が歩いてるのを見られてた訳だからね…うん。
ズラァ…っとあたしを取り囲むようにギャルギャルしい子から地味な子まで様々な容姿の女の子に囲まれ、睨まれてるわけですよ。
「ずっと気に食わなかったのよね!席が隣ってだけで仁王くんと仲良くして」
「それにクッキーあげて丸井くん釣るとか卑怯よね。そこまでして丸井くんに近付きたいの?」
「切原くんもそうよ。何をしたのか知らないけど彼をタブらかさないでくれる?」
「なんか倒れて幸村くんに助けてもらったらしいけど、それもわざとなんでしょ?汚い手使うわねー」
と、まぁ…赤髪、銀髪、切原くん、幸村くんのファンクラブの皆さんらしいですが。
はぁ…。そこまで見てて知ってるならあたしが迷惑そうにしてるのも見てるんじゃないの?
てか、あたしがいつあいつ等と仲良くしたのだろうか。まぁ、確かにクッキーあげたし、お弁当は一緒に食べましたけど。
「必要以上に彼等に近付きたいのならファンクラブに入らなくちゃいけないの。わかる?」
いや、わかりたくないです。
「丸井くんにお菓子をあげていいのは、ファンクラブに入ってる子だけなのよ!」
はぁ…そうですか。
「幸村くんと話すなんてもってのほかよ!私達の許可もないのに好き勝手しないでちょうだい!」
お、おう…。
よくわからないけど、あなた達がキチガイなのはよくわかったよ、うん。
なーんか、ファンクラブがあるとかすげぇとか思ってたけどこう…話を聞いてると可哀想だな。
窮屈と言うか、自由がないって言うか。まぁ、本人達がどう思ってるかなんてあたしが知るわけないからどうでもいいけど。
「なにか言ったらどうなの?」
「何を言ってほしいわけ?」
「…っ!ファンクラブに入りたいなら入りたいって素直に言えば入れてあげるわよ?」
「まぁ、入ってすぐに彼等には近付けないけどね。ただのパシリよパシリ!」
「今まで好き勝手してたのだから十分じゃない?むしろ、ファンクラブに入れて貰えるだけ感謝してほしいわ」
あーウザいなぁ。
なんであたしがそんなキチガイ集団のファンクラブなんぞに入らなきゃならないんだ。
それに今更だけどファンクラブってなんなの?テニス部と関わりがある女子をこうやって呼び出してファンクラブに勧誘するのがファンクラブなの?
うーん、よくわからん。
ま、入るつもりなんか微塵もないし、別にどうでもいいんだけど。
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