×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

すれ違って交差 (1/4)


あの日、あたしはどうやら倒れたらしく目が覚めた時には保健室で寝ていた。そして傍らには、目を赤くした早苗がスヤスヤと寝ていてズキリと胸が痛んだ。

そしてその日は、大事をとって早退をしたんだけど。



「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」



なんか知らないけどその次の日から赤髪と銀髪が静かになった。いや、正確に言うといつもうるさかったのは赤髪なんだけど。

え、なにこれ…静かなのは有り難いけど、なんか気持ち悪いんだけど。

こいつらに一体になにがあったんだ?いや、別に何があってもあたしには関係ないんだけど。

さすがに気味が悪い訳で早苗の元へ逃げると柳くんがすまなそうな顔をしてあたしを見つめるもんだから更に頭を傾げる。



「ねぇ、なんか前より居心地悪いんだけど…あの席」

「…あー、うん」

「え、なにそのリアクション」

「あ、あのね…」

「丸井と仁王は、楠木の病気の事を知っている。だから気を使わせないように関わるのを自重している」



………は?

ちょっと待って。
確かに、あたしは倒れたよ?それに助けてくれたのがテニス部の人だって事も聞いた。

だけど、赤髪や銀髪がいたなんて聞いてないし。何よりもなんであたしの病気の事を知ってる訳?

意味がわからない。



「はっ…なんの事?あんなのただの貧血だよ?んな大層なもんじゃないし。ねぇ、早苗?」

「…………」

「はっ?ちょ、早苗?嘘でしょ?あんたが言ったの?」

「それは、違う。羽川はなにも」

「…っもういい。聞きたくない!」



柳くんが何かを言い掛けていたが早苗が黙っていると言うことは、本当にあたしの病気の事を赤髪や銀髪が知っているという事だ。

それに柳くんも。

もしかしたら、助けてくれたあの幸村くんと真田くんも知っていたのかもしれない。

そう言えば、真田くんがヤケに心配してたし。うわっ…ただの貧血ですとか言ったあたしバカみたいじゃん。


てか、なに一丁前に気なんか使ってんの?赤髪も銀髪も。


………クソッ


病気で可哀想な子とでも思ってんのか。ムカつく…


イライラとしながら荒々しく屋上のドアを開けるとそこには、見慣れたひじき頭がいた。

そしてあたしに気付くとパァッと顔を明るくさせて手をブンブンと振っている。


……あいつもテニス部だったはず。
はっ…知らないフリでもしてるつもりなのだろうか。

もう、うんざりだ。

そしてあたしは、すぐに身を翻し教室に戻りカバンを手に取り学校を後にした。

prev|next

[戻る]