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君が壊れる前に (1/4)


璃亜は、ずっと黙っていた。なにか言い訳でも考えているんじゃろうが、俺はすでに璃亜が暴力を振るわれている現場を見ているし、会話も聞いている。

だからいくら璃亜が上手い言い訳をしたところでなんの意味もない。

そして璃亜の体を気遣いながら歩くペースを気にして歩き、やっとマンションへ着いた。



「なっ…ちょ、仁王!?」

「………………」

「はっ?なになんなの!?」

「………………」

「なんであたしん家!?」



マンションに着くなり騒ぎ出す璃亜を無視してエレベーターに乗る。

そしてエレベーターを降りて部屋の前まで来ると璃亜が更に騒ぎ出す。



「ちょ、あたしの部屋ここじゃないし!」

「誰がお前さんの部屋じゃと言った?」

「は、はぁっ?」

「ここは、俺の部屋じゃ」



カバンから鍵を出してドアの鍵を開け、そのまま璃亜の腕を引いて部屋に入る。

璃亜は、まだ状況が把握出来ていない様で唖然としながらも俺に手を引かれてリビングに付いてくる。

そこで腕を離すとハッと我に返ったのか璃亜が逃げ出そうとする。

が、逃がす訳なか。



「これ、待ちんしゃい」

「いや、待たない!」

「なら羽川に連絡するぜよ?」

「なっ…!」

「羽川に連絡されるのが嫌なら大人しく座りんしゃい」



その言葉に少しだけ何かを考える素振りを見せたが、諦めたのかゆっくりと座った。

それを確認して俺もゆっくりと璃亜の近くに腰を下ろす。

しかし璃亜は無反応で、ただ険しい顔をしていた。



「もう一度聞くがお前さんは、すぐに家に帰らんでなにしとったんじゃ?」

「告白されてた」

「…お前さん、俺をバカにしとるんか?」

「………………」

「ならその赤い頬はなんじゃ」

「告白断ったらビンタされた」


…さすがの俺でもその言い訳はない。と言うか、ホントこやつは俺をバカにしとるんか。

あたしってばモテモテ〜!とか下手くそな作り笑顔を向ける璃亜を冷めた目で見つめる。

雨音には、悪いがこやつはどうも直球でしかダメみたいじゃ。


そしてグイッと璃亜の腕を掴み制服をたくし上げた。

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