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241*自分の出来る事(1/4)



あー、もうっ…!
本当に狡いなぁ…。

こうも簡単に楽しいって思えちゃうもん。



「ナイスコース、良く見てたね」

「弦ちゃん分かりやすいし…蔵も基本的な動きが多いから」

「でも瞬時にあそこに打てたのは、璃亜がしっかり試合に集中してたからだよ」

「うっ…や、やめろぉ!! 褒めるァ! メンタルぼろぼろだから、すぐ泣くぞ! ほら泣くぞ!」

「それに璃亜がよく観察してくれてるお蔭で俺も俺で攻めやすかったし、もっと自信持っていいんだよ」



う、うわぁぁあぁ! やめろぉ!
なんで今日は、こんなに優しいんだよ! いつもは、もっと厳しいのにさぁ!! なんなん? そんなにわたし弱ってる様に見えた? いや、弱ってたけどさぁ!!

いつもなら褒めないと言うか、これが普通って感じだったから…なんというか、改めて言葉にされるとちょっといや、かなり嬉しかったりする。

ていうか、普通に精市達と打つのも久し振りな気もするし。なんか…いいなぁって思いました。(小並感)



「どう? まだシンクロしたいって思う?」

「…ううん、もういいかなって思えてきた。言い方悪いけど、シンクロしなきゃって思ってた時はなんて言うか、楽しくなかったし。試合に集中出来てなかったなって、改めてよくわかったから」

「それにシンクロしたいって気持ちだけが先走って、ペアの人に変に気を使ってたでしょ? それじゃあ、なんの意味もないし息が合わないのも仕方ないよ」

「うっ…ぐぅの音も出ない」

「まぁ、元から璃亜は気にしいだから俺等以外だと変に気に掛けちゃうんだろうけどね」



そ、それも確かに…。
精市達は、わたしとなんだかんだで一緒に打ってくれてたし…それに精市達のクセとか動きとか、なんとなくでわかるしね。

…やっぱり、わたしが変に距離を置き過ぎなのかなぁ。入江さんも、いつも通りでいいって言ってくれてたし。まぁ、それが出来てたら今こうして苦労はしてないんだけどさ。



「ていうかね? 璃亜が1番実力がないのは事実なんだから、もっとがむしゃらでいいんだよ。それに、ミスしたらどうしようじゃなくて、今自分に出来る事をすればいいんだよ。さっきにみたいにね」

「…精市って本当に飴と鞭の使い方が上手いよね」

「ふふっ、そう?」

「もうシンクロに囚われない。独り善がりやめる。なによりもテニスを楽しむ」

「ふふっ、それでいいと思うよ。たまに欲が出て我が儘言いたくなる気持ちもわかるから、1人で溜め込まないで俺に言っていいんだからね」

「…あ、あい」



いつも通り、全部お見通しかぁ。まぁ、精市もいっぱい辛い思いをしてるからこそなんだろうけど…やっぱり、精市もわたしみたいに悩んでたのかなぁ。

…でも、精市の事だからニコニコしながら大丈夫だよって1人で頑張ったんだろうなぁ。

……わたしも頑張らないとなぁ。多少、良くなって来てるとは言っても…油断しちゃダメだよって氷室先生にも言われたし。

本当に気を付けよう。
そもそも、治ったら何も気にせずテニスが出来る様になるんだし。うん、今は我慢して出来る範囲で楽しもう、そうしよう。

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