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暫くして雷も落ち着いて来て、ゆっくりと璃亜を抱き抱えて立ち上がる。
もう少し璃亜の寝顔見てたかったけど、さすがにここは冷える…だけん璃亜の体調が悪くなっても困るばい。
それにしても、ぎゅっと俺にしがみついて寝とる璃亜はほんなこつむぞらしかねぇ。
トレーニング施設から外に出ると予想通りパラパラと雨は降ってるが雷は鳴ってなかった。
ゆっくりと寮に向かうと待ってたと言わんばかりに入り口に何人かの姿が見えた。
「おー、さすがに下着じゃなかったみたいで安心したぜい」
「いや、あの時は雨に濡れてたからじゃろ」
「千歳くん、ごめんなさいね。璃亜が世話を掛けて…」
「ん、気にせんでよか。起こすのも可哀想だけん部屋に運んでよかと?」
「えぇ、じゃあ一緒に行くわね」
羽川の言葉にコクりと頷き、ゆっくりと羽川と歩き出すとずっと黙っていた白石や謙也達が後を付いて来たけど気にせず2階に上がった。
んー、やっぱり璃亜はむぞらしかねぇ。
璃亜の部屋に着いてベッドに寝かせようとしたら、璃亜が嫌だと言わんばかり俺に張り付いて離れん。
それを見た白石や謙也がなんでやねーん!とか小声で叫びながら床で嘆いてる。
「羽川、ここにいてもよかと?」
「それは千歳くんの自由だけれども…もしなら無理矢理剥がしていいわよ?」
「そぎゃんこつせんよ」
「そう?ならいいのだけれど。じゃあ…なにかあれば、私は部屋にいるから」
「ん、わかったばい」
「じゃあみんなは部屋から出るわよ」
「ぐぅっ…千歳だけズルいやんかぁ…」
「部長、昨日一緒に出掛けてたやんか」
「アレは俺かてビックリしたんや!」
羽川に部屋から出るように言われて素直に部屋を出ていく面々に驚きつつ、ゆっくりと張り付いてる璃亜に寄り添うようにベッドに横になるとモゾモゾと璃亜が動き出す。
とりあえず、ゆっくりと布団を掛けてやるとぎゅっと璃亜が俺のジャージを握り締めると胸にピタリとくっついた。
…ほんなこつ、むぞらしかねぇ。
いつも元気な璃亜も好いとる、だけん今みたいに甘える璃亜も好きばい。
そして璃亜が起きたのは、それから1時間くらい経った後だった。
起きるなり土下座をして謝ってきたかと思ったら今度はありがとう!と満面の笑みでお礼を言っていた。
※雨が降りだして寮に避難後
(うむ…夕立か。1時間もすれば止むな)
(でも時間も時間だし中止だろい?)
(どうせ明日やるんスよね?)
(まぁ、そう言われたからな)
※雷が鳴ってる事に気付く
(…今、気付いたけどよ。雷鳴ってるよな)
(ハッ…璃亜せんぱいがっ!!)
(羽川!璃亜はどこにいるんだよい!?)
(び、備品庫に…今連絡してみるわ)
(しかし備品庫は5ヶ所ありますね…)
(アーン?璃亜がどうした?)
(璃亜ちゃんがどないしたん!?)
(あいつ雷が苦手なんだよい!)
(まぁ、軽くパニックになるんじゃよ)
(な、なんやと!?)
※そして千歳が電話に出たところに繋がる
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