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そして有り得ない速度で問題集を終わらせた蔵は、コーチ枠の胡散臭いメガネさんに問題集を提出して戻って来た。
「お待たせ。それでどこがわからへんの?」
「ぜんぶ」
「財前から聞いとったけど…ホンマに英語苦手なんやなぁ。ほな、説明するから聞いといてな?」
「うぅ、はい…お願いします」
「大丈夫やって、ちゃんと教えたるから。せやから、最後まで頑張ろうな」
「ヤバい…蔵にキュンってした」
「ちょ、急に可愛い事言うんなしやで」
いや、ジャッカルくんとか弦ちゃんにもこんな感じの事は言われるけど…ほら、蔵って中身残念な変態だけど顔はイケメンだからね。
それに全部って言ったら大体の人は呆れて面倒臭がるのに蔵は、嫌な顔もしないでノート広げて丁寧に説明しながらカリカリと文字を書いている。
やだ、本気でときめく。
しかも正解するとよう出来たやんと頭を撫でてくれる特典付きである。それに間違えたら間違えたで、ちゃんと説明もしてくれるし。
てか、普通に教え方上手いし。
「なんや、苦手言うから結構大変かと思うたけど全然出来るやんか」
「蔵のお蔭です」
「ちゅーか、璃亜ちゃんやれば出来るみたいやし、勿体無いで?」
「むぅ…でも英語はすぐ忘れちゃうんだよね〜」
「せやけど、ある程度基本は出来とるし。もう少し頑張れば問題なく出来る様になると思うで?」
「うぅ〜…勉強嫌い」
「ハハッ、素直やなぁ。まぁ、俺は好きやないけど嫌いでもないからなぁ」
そして蔵のお蔭で授業終了5分前にやっと問題集を終わらせる事が出来た。ちなみに2年生組でこんな時間までやっていたのはあたしだけである。
2年生組、頭良過ぎだろ。
ちなみに終わった2年生組は、英語が苦手な1年生に教えてあげてるらしい。さっきから切原!と怒られてる声が聞こえて来てやっぱり赤也は赤也だった。
そしてぐでぇ〜と机に突っ伏す様にして伸びをするとよう頑張ったなと蔵があたしの頭を撫でた。
「ヤバい…今日は、蔵にキュンってする日なのかもしれない」
「ははっ、なんやそれ」
「へへっ、でも本当にありがと」
「俺でよかったら勉強くらい、いつでも教えたるで?璃亜ちゃんと居れるんなら俺も嬉しいしな」
「イケメンやめろ、惚れてまうやろー」
「…え、ホンマに今日の璃亜ちゃんなんなん?英語で弱り過ぎやろ。まぁ、可愛えからええけど」
「だったらそんな弱ってる時に優しくしないで!ズルいヤツめ!でも教えてくれてありがと、マジで感謝」
そして自分さっきからありがと言い過ぎやでと軽く笑う蔵は、やっぱりムカつくくらいイケメンであった。
全く…これだからイケメンは…。
でも本当に感謝してます!
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