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思わず忍足を突き飛ばすが全く意味がなかった様で、ゆっくりと体が離れたかと思ったら忍足の顔がこんにちは!
「ち、ちかーいいいっ!?け、けけっ謙也ぁぁ!!」
「ちょ、侑士!やめーや!」
「そない顔真っ赤にして、ホンマに璃亜ちゃんは可愛えなぁ」
「…う、うっせ!離せぇぇえい!み、耳がぁぁあ…!け、謙也ぁぁあぁ!うわぁあん!」
「璃亜、落ち着き!ちょ、侑士!いい加減に離したり!」
「せやけど、璃亜ちゃんが可愛えんやもん。しゃーないやんか」
…もうあたしは、絶対に忍足には近付かない!あたし、忍足の声ダメだ!てか、なんでか凄いゾクゾクするからやめて欲しい。しかも無駄にいい声だから気持ち悪いを通り越して、恥ずかしくなるわ!!
そして結果、すまんすまんなんて言いながらあたしを離した忍足だったが…耳がゾクゾクしてるし、なんか顔は熱いしであたしは逃げる様に謙也に飛び付いた。
クソクソ!後で、わかちゃんにチクってやる!古武術で成敗してもらう!!
「お、おぉう!?お、おちおちち落ち着くんやで、璃亜!」
「…落ち着くんはお前や」
「忍足の声ダメ…マジでダメ…耳死んだ…謙也助けて」
「ちょ、死んだはさすがに傷付くで」
「だ、大丈夫や。俺が侑士から守ったる!」
「なんでやねん、おかしいやろ。え、璃亜ちゃん俺の声嫌いなん?」
…い、いや、違うんだ。別に嫌いな訳じゃないんだよ。なんか…なんか、ダメなんだよ。いつものキモい感じじゃないのがまたダメなんだよ。
とりあえず、謙也に引っ付いたままフルフルと頭を振るとホンマに可愛えなぁなんて言いながらクツクツと忍足が笑っててイラッとした。
クソ、忍足を話相手に選んだのが間違いだった!謙也は、全然いいけど。
「すまんて、悪気はなかったんや。なんちゅーか、嬉しくてな?」
「意味わかんないし」
「ほら、璃亜ちゃんやたらと俺の事を避けるやんか」
「それは、避けられる様な事する侑士が悪いんやろ!」
「それなんに話相手になってなんて言われたら嬉しいに決まっとるやんか」
「無視か!」
「謙也は、喧しいわ」
ポンポンとあたしの頭を撫でながらそんな会話をしているタリーズにゆっくりと顔をあげると、忍足がごめんな?とすまなそうに頭を傾げていた。
…あぁ、ちょっと悪気はなかっとかは嘘臭いけど一応は悪いとは思ってるみたいだし。
まぁ、許してやろう。
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