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それにしても、蔵は相変わらず悩みが多いなぁ。なんて思っているとメニューに目を通し終わったらしく、跡部くんがあたしの膝にメモを置いた。



「このメニューだが、実際やってみてどうだったんだ?」

「ん、物足りないかな。でも毎日継続的にやるならこのくらいじゃないと出来ないと思う」

「まぁ、だろうな」

「ていうか、他に練習したいなら自分で決めてやれって事かなぁって思った」

「ふっ、さすがだな。あのコーチの事だ、他にもお前には色々指示してるだろうが無理はするなよ」

「ふひひ、察しが良いのぅ。まぁ、無理はしないから大丈夫!」



さすがは前にここで合宿をした事があるな!むしろ、黒部コーチをなんだと思ってるんだ!あの人、なんか無口で無表情で怖い感じするけど結構いい人だぞ!(酷い)

しかもなかなか面白い練習方法だし!あたしは、凄く楽しみですよ!まぁ、みんなには明日話すって黒部コーチが言ってたから言わないけど。

んん〜っ!
それにしても見てるだけなのも楽しいけど、やっぱり打ちたいなぁ。

あ、そうだ。



「ねぇねぇ、仁!」

「あぁ?なんだよ。大人しくしてろよ、ちんちくりん」

「ちょっとあたしと打たない?」

「あ゙ぁ?」
「なっ…」
「えっ!?」

「ほぅ、なかなか面白そうだな」



ゆっくりと立ち上がり怠そうにベンチに座ってる仁の前に立ちそう言うと、あからさまに嫌な顔をする仁。

そして何故かやめとけと言わんばかりの跡部くんと蔵に相変わらず御機嫌な弦ちゃん。

いや、ずっと気になってたんだよね…仁の独特のプレイスタイル。それにまともに打った事ないし。まぁ、それを言ったらほとんどの人と打った事ないんだけどさね。

そしてちょっとだけ!ダメ?と手を合わせると仁が無言で立ち上がるとラケットを握った。



「…チッ、少しだけなら付き合ってやらなくもねぇ」

「やった!やっぱり仁は、ツンデレ!」

「うるせぇ!ぶっ飛ばすぞ!」

「よっしゃ!掛かって来いや!」

「テメェは人の話を聞け!」

「あたしから打つよ〜!!」

「…勝手にしろ」



そして空いてるコートに入って仁と軽く打ち合いをしたんだけど…ヤバい、なんか凄い綺麗。なんて言えばいいかわからないけど、独特のフォームなのに全然ブレないし凄く綺麗だなって思った。

軽い打ち合いを終わらせて相変わらず怠そうな顔をしている仁にありがと!と飛び付くとなにしやがる!とか言いながらも受け止めてくれる仁は、やっぱりなんだかんだで優しい。





(仁のプレイめっちゃ好き!)
(あ゙ぁ!?)
(凄く動きが綺麗!ヤバい!)
(う、うっせぇ!)
(なんか筋肉ふにゃふにゃみたいな?)
(その言い方やめろ)
(なんか…こう滑らかに動くよね)
(…知るか)
(あたしも太一くんと一緒にあのフォームに…)
(アホか、やめろ)
(えぇ…あのフォーム、走り出しやすくていいのに)
(今のままでいいって言ってんだよ)
(でも筋肉ないしなぁ…ふにゃふにゃ筋肉かぁ…)
(…チッ、テメェは話を聞け!)
(お、おう!聞いてるよ!!)
(あの2人、仲ええなぁ)
(…アーン?そうか?)
(ハハハッ!亜久津も楽しそうだな!)
(テメェ、真田もうるせぇ!)

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