眠るのは君の前だけ (1/4)
本気で寝るつもりはなかったんじゃが…いつの間にか俺は寝とったらしくゆっくりと目を開けると前屈みになったまま寝とるらしく璃亜の顔が目の前にあって、さすがにビックリした。
ゆっくりと璃亜の膝から抜ける様に起き上がり、未だにスヤスヤと寝とる璃亜の隣に座り頭を寄り掛からさせる。
あんな体勢で寝とったし、首痛めとらんといいんじゃが。
そんな事を思いながらポケットからスマホを出すと参謀と羽川+αから連絡が入っとった。ちゅーか、普通に昼過ぎとるし。
とりあえず、参謀に電話するか。さすがにずっと連絡せんままだったしの。そして数コール後に参謀が電話に出た。
「悪いナリ、さっきまで寝てたぜよ」
「"ふっ、そんな事だろうとは思っていた。皆が必死に楠木を探しているぞ"」
「残念ながら璃亜は、幸せそうに夢の中じゃよ」
「"うむ、寝ているなら早めに連れて戻って来た方がいい。今日は天気が良いと言っても風は冷たいからな"」
「少ししたら連れて戻るぜよ。寮に人は居るんか?」
「"うむ、数人程度だな。皆、楠木を探しに行っていたり試合をしていたりと騒がしいからな"」
なら大丈夫そうじゃな。
どうやら、参謀は羽川とおるみたいじゃし。軽く璃亜の頭を撫でながら少ししたら連れて戻ると再度伝えてから電話を切った。
それにしても相変わらず璃亜は、他の連中にも好かれとるのぅ。この合宿、気が気じゃないぜよ。
しかも毛利や種子島もおるし。何人か女子テニスの奴等にでも気取らんかのぅ。まぁ、千石と葵くらいしか興味持たんそうじゃが。
そんな事を考えながら未だにスヤスヤと寝とる璃亜の頬を軽く撫でた。
―――
――――
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暫くして軽く揺すぶっても璃亜が起きんかったから、仕方なく抱っこして寮に戻っとる。
相変わらず、かっるいのぅ。
しかも寒いのかなんなのかいい子にピッタリと俺の胸に張り付いとる璃亜が可愛いぜよ。
そしてギャーギャーと相変わらずそこかしこから騒がしい声が聞こえてきて、自然と騒がしい声を避けるように寮に向かえば誰にも会う事なく寮に着いた。
とりあえず、璃亜を抱えたまま部屋に入りベッドに寝かせるがどうにもジャージを離してくれなくて困る。
まぁ、別に璃亜の部屋にいるのはいいんじゃが…誰か来た時に面倒じゃな。
そんな事を思いつつもベッドに座りながら璃亜の頭を撫でた。
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