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そしてコーチ3人に連れてこられたコートにいた人物に激しく嫌な予感がした。いや、むしろ予感どころか嫌である。
ふにゃりと笑みを浮かべながら、あたしに手を振ってるもじゃもじゃに頭を抱えつつ…コーチ達を見ると齋藤コーチがニコリと笑った。
「相手は、君を推薦した毛利くんと種ヶ島くん…と言いたいところなんだけど、種ヶ島くんはどうしたんでしょう」
「いつも通り、どっかで油売ってんじゃねぇのか?」
「まぁ、さすがに2人を相手するのは体力的に厳しそうですし。まずは、毛利くんと軽く打って下さい」
「えーと、軽くってどうすればいいんスか?試合じゃないんですよね?」
「では、5分間好きなように打って下さい。本気で打ってもいいですし、軽くでもいいです」
「あぁ、了解ッス」
軽くコーチ達に頭を下げてゆっくりとコートに入って、もじゃもじゃこと毛利さんの元に向かう。
それにしても5分間か。
今のあたしなら余裕だな。
これでも前より体力は付いたし。まぁ、全力でテニス出来るのは15分くらいだけど…前は5分が限界だったのを考えると凄いと思う。
もちろん、15分丸々やったらぶっ倒れるからまともに出来るのは10分くらいだけど。
「璃亜、ホンマに来てくれたんやな。嬉しいで」
「いや、勝手に推薦したの誰だよ」
「せやけど、璃亜は頭良くないやんか。テスト無理やろ?」
「すげぇムカつくけど否定出来ない」
「らくやって。修さんから1ポイント取ったってだけでコーチ等、璃亜に興味津々やったから」
「しゅ、修さん…?あぁ、チャラチャラの人ね。アレは、余裕ぶっこいてたからでしょ」
「ハハッ、せやな。まぁ、ほなやるか〜別に全力で掛かって来てもええんやで」
「その余裕マジでムカつく」
サーブは璃亜からでええよ〜とボールを放って来たのでそれを軽くラケットでキャッチしてベースラインに向かう。
うーん、どうすっかなぁ…。
あのサーブでちょっと牽制しつつ、まだ未完成だけど…アレやっちゃおうかな。
あ、ダメだ。
赤也と仁王にまだ秘密にしてろって言われてんだった。まぁ、まだ完成してないしな。
まっ…とりあえず、やれるだけやればいっか。
そしてまだ改良の余地有り有りのあたしのアンダーサーブをお見舞いしてあげた。ちなみに赤也は、未だに返せなかったりする。
「ぬわっ…いきなり攻めてくるんかい!アンダーなんにえっぐいサーブ打つなぁ」
「クッソ!あっさり返してんじゃねぇよ!!!」
いや、まぁ…所詮はアンダーサーブですしおすし。ちょっと牽制出来ればいいんですよ、まぁ…あっさり返されたのは悔しいけどな!
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