×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

(4/4)


*****

眼鏡について指摘されたのは、なにもこれが初めてではない。ですが…

"寂しいなぁって"

寂しいと言われたのは初めてだった。興味本意で眼鏡を外してくれと言われたことは多々ありましたが…

それに目を合わせて話したい…だなんて言われたのも初めてです。しかも眼鏡を外してくれなどとも言わずに気にしないでと笑う楠木さんは、本当に気にしていないのか呑気に紅茶を啜ってらっしゃる。


この眼鏡を掛けている理由はもちろん視力が悪いのもありますが…元々、私は目付きが余りよろしい方ではないのが一番の理由だったりします。

いくら、紳士的な振る舞いをしても目付きが悪くては相手に威圧感を与えてしまい怖がらせてしまう。それを避ける為にこのような特殊な眼鏡を掛けるようになりました。


しかし楠木さんが言う通り、私からは見えているのに楠木さんから見えないのかフェアではないんではないでしょうか。

私からですと楠木さんは真っ直ぐと私の目を見つめている様に思っていましたが…楠木さんからしたらそこに目があるのはわかるが見えていないというになります。

…私は、大変失礼な事をしていたのかもしれません。



「楠木さん」

「んっ?紅茶のおかわり?」

「い、いえっ…あの」

「………?」



キョトンとした顔をして頭を傾げている楠木さんに少し緊張しつつも、ゆっくりと眼鏡に手を掛ける。

正直、眼鏡を外すくらい大したことではないのですが…やはり、楠木さんに嫌な印象を与えてしまうんではないかと不安になってしまう。

そしてコトリと眼鏡をテーブルに置くといつもよりクリアになった視界の中に楠木さんが映る。



「…ど、どうですかね?これで寂しくありませんか?」

「や、ややや柳生くん!無理しなくてよかったのに!え、あっ…めっちゃ嬉しいけどね!てか、なんか凄い顔色悪いよ!?無理しないで眼鏡掛けて掛けて!!」

「私は余り目付きがいい方ではありません…ですから」

「へっ?目付き?」

「威圧感を与えてしまい、怖がらせてしまったんじゃないかと…」

「柳生くん!!」

「は、はい…っ!?」



ち、近いっ!!

いつの間にこんなに近くに来ていたのか楠木さんの顔が目の前にあり、私の顔を手で優しく包むとジーッと私の目を見つめる。

そしてすぐにふにゃと笑うと頭を傾げた。



「あたしは、そんな事思わないよ?今だってすっごいあたしの事心配してる目してるし」

「えっ…」

「目は口程にものを言う…でしょ!目付きが悪くったって柳生くんの気持ちは伝わるから大丈夫!てか、そんな目付き悪くないよ?目付き悪いって言うのは仁王とかの事を言うんだよ」



こんなんこんなん!と目尻を引っ張りながらピヨッと仁王くんの真似をする楠木さんに思わず笑ってしまう。

そんな私を見るなり楠木さんがピタリと動きを止めてポカンとしている。



「…楠木さん?」

「え、やっ…柳生くんって…こんなに綺麗に笑うだぁって…今まで眼鏡で見えなかったし。なんか嬉しいなって」

「なっ…」



うっすらと顔を赤くして嬉しそうに笑う楠木さんに思わず私の顔まで熱くなる。

あ、柳生くん照れてる!なんてイタズラっ子の様に更に笑い出す楠木さんに言い返せず、ジーッと楠木さんを見つめた。





(ちょ、そんな見つめないで!)
(おや?どうして目を反らすんです?)
(うは、からかったの謝るからそんな見ないで!)
(目を合わせないと楠木さんが寂しがりますから)
(ちょ、柳生くん意地悪か!!)
(おや、今更気付きましたか?)
(紳士な柳生くんどこー!?)
(紳士でもたまには意地悪はしますよ?)
(ギャー!柳生くん近いっ!その目になにかが射抜かれそう!)
(では、射抜きましょう)
(な、なんでぇー!?)
(ふふ、楠木さんは本当に可愛らしいですね)
(さっき照れてた柳生くんは何処へ!?)

prev|next

[戻る]